カレントテラピー 29-11サンプル

カレントテラピー 29-11サンプル page 23/32

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概要:
設定されていることに起因すると考えられている.●Ⅲ今後の展望EGFR遺伝子変異を有する再発・転移性NSCLC患者に対しEGFR -TKIを使用すべき点については議論の余地がない.今後,これら変異陽性NSCLCに対してEGFR -T....

設定されていることに起因すると考えられている.●Ⅲ今後の展望EGFR遺伝子変異を有する再発・転移性NSCLC患者に対しEGFR -TKIを使用すべき点については議論の余地がない.今後,これら変異陽性NSCLCに対してEGFR -TKIを超える治療方法の開発が求められている.1非可逆性EGFR-TKIゲフィチニブやエルロチニブは可逆性EGFR -TKIともいわれ,EGFRのアデノシン三リン酸(ATP)結合部位と水素結合により結合する.これに対し,近年,EGFRと共有結合を形成することでより強力に結合できる非可逆性EGFR -TKIの開発が行われた.非可逆性EGFR -TKIは,前臨床研究においてゲフィチニブやエルロチニブに耐性を獲得したNSCLCに対しても効果を有することが示されており,そのなかでも特にafatinibが臨床応用に期待されている.afatinibは,EGFRとHER2の両阻害効果をもつ非可逆性EGFR -TKIの一種である.エルロチニブに耐性を獲得したNSCLC患者を対象としたプラセボ比較第Ⅲ相試験(LUX -LUNG 1試験)において,afatinibによる無増悪生存期間の延長は認めたものの,全生存期間の延長を示すことはできなかった15).現在,EGFR遺伝子変異を有するNSCLCの初回治療として,プラチナ併用化学療法との比較第Ⅲ相試験(LUX -LUNG 3/6試験)が進行中であり,その結果が待たれる.2血管新生阻害薬との併用近年,多くの癌腫において血管新生阻害薬であるベバシズマブ(アバスチンR)の有用性が報告されており,肺癌ではカルボプラチン+パクリタキセルにベバシズマブを併用することで全生存期間が延長することが示されている.著者らは前臨床マウスモデルにおいて,ゲフィチニブに耐性を獲得したEGFR遺伝子変異陽性肺癌腫瘍に対して,ゲフィチニブ+ベバシズマブの併用療法が有効であることを示した16).また,他グループからは,ベバシズマブの耐性に腫瘍間質のEGFRシグナルがかかわっており,EGFR -TKI+ベバシズマブの併用で良好に血管新生を抑制することができたという報告もなされた17).われわれ岡山肺癌治療研究会(OLCSG)では,EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLCを対象に,初回化学療法としてのゲフィチニブ+ベバシズマブ併用療法の有効性を検討する第Ⅱ相試験が進行している.別グループでは,EGFR遺伝子変異陽性進行肺癌の初回治療としてエルロチニブ+ベバシズマブ併用療法の有用性を検討する試験が進行中である.さらに変異陽性NSCLCに対し,ゲフィチニブと殺細胞性抗癌剤との併用療法の効果を検討する研究も他グループにおいて進行中である.3局所進行NSCLCに対するEGFR-TKI局所進行NSCLCに対する標準的治療法は,プラチナ併用化学療法との同時放射線化学療法であるとされている.OLCSGでは,第Ⅲ相試験においてシスプラチン+ドセタキセルを用いた放射線化学療法の有効性を証明しており,現在の標準治療と考えられる18).局所進行NSCLCに対し,放射線化学療法施行後,ゲフィチニブを維持療法として投与したプラセボ比較試験(SWOG S0023試験)では,ゲフィチニブ投与群のほうがかえって全生存期間で劣っており19),現段階で,根治的照射の対象となる局所進行NSCLCに対しEGFR -TKIが使用されることはない.しかしこれまで,局所進行NSCLCの治療において,転移・再発性NSCLCのようにEGFR遺伝子変異の有無による治療方法の層別化は行われてこなかった.そこでOLCSGは,九州肺癌研究機構(LOGIK)との共同研究により,EGFR遺伝子変異を有する局所進行NSCLCに対し,まずEGFR -TKIの2カ月間先行投与を行った後,シスプラチン+ドセタキセルを用いた放射線化学療法を行うという治療法の有効性を検討する試験を進行している.この試験の結果によっては,将来的に局所進行NSCLCにおいても,転移・再発性NSCLCと同様,EGFR遺伝子変異の有無による治療方法の層別化が行われるようになる可能性がある.761048