カレントテラピー 29-11サンプル

カレントテラピー 29-11サンプル page 6/32

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概要:
径1.4mm,Olympus)がある.Ⅲ超音波ガイド下経気管支針生検本法は2002年にconvex型超音波プローブが先端に搭載された特殊な気管支鏡,すなわちconvex型超音波気管支鏡の開発から2年後の2004年より臨床応用が開始さ....

径1.4mm,Olympus)がある.Ⅲ超音波ガイド下経気管支針生検本法は2002年にconvex型超音波プローブが先端に搭載された特殊な気管支鏡,すなわちconvex型超音波気管支鏡の開発から2年後の2004年より臨床応用が開始された6).これにより,気管・気管支周囲の病変や縦隔・肺門リンパ節腫大に対してリアルタイムに観察しながら針生検が行えるようになった.以前は,このような病変の組織診断には全身麻酔下の縦隔鏡検査が不可欠であったが,EBUS-TBNA開発後はより侵襲の少ない局所麻酔下での組織採取が可能になった.Convex型超音波気管支鏡を使用する場合専用のバルーンを気管支鏡先端の7.5MHzのプローブに被せ,約0.5mLの生食で膨らませることで,リンパ節に接する気管支内腔壁の気管支軟骨で生じる凹凸にバルーンを接触させてリンパ節を描出する.本法の適応は1原発性肺癌症例における肺門・縦隔リンパ節転移評価,2転移性肺腫瘍における肺門・縦隔リンパ節転移評価,3原因不明肺門・縦隔リンパ節の診断,4縦隔腫瘍の診断,5肺内腫瘍の診断,が挙げられる.一方,本法にも限界があり,描出できる#1?4,7,10?12番リンパ節は生検可能であるが,気管支壁から離れている#5,6,8,9番リンパ節,およびconvexの先端が気管支に入らない部位の#13,14番リンパ節は描出できず,生検は不可能である.診断率に関してはどの施設もほぼ同様に90%前後と良好な成績を上げている7)?10).本施設においてもEBUS -TBNAを施行した174例における診断の感度は100%,特異度は83%,陽性反応的中度は95%であった.さらに,当科では診断率の向上を目指していくつかの工夫をしており,その際に診断を妨げるひとつの要因として気管軟骨の存在が挙げられた.そこで,われわれは気管支軟骨の穿刺を避けるべく,まず穿刺針の外筒を軽く気管支壁に押し当てた後,気管支鏡ごと中枢側・末梢側に動かし,外筒先端が気管支軟骨間にはまり込ませた状態で穿刺を行っている(図2).こうした工夫を加えることによって気管支軟骨の穿刺を回避でき,診断率がこれまでの図1 convex型超音波気管支鏡外径は6.9mmで,径2mmの鉗子口から22Gの穿刺針にて穿刺する.外筒腫瘍気管軟骨図2 EBUS-TBNAにおける気管支軟骨間の穿刺法93.6%から99.0%と有意差をもって改善するに至った.今後,EBUS -TBNA施行時には必須の手技になるであろうと考えられる.一方,合併症に関してはこれまでに約400症例施行してきた結果,出血と縦隔炎を1症例ずつ経験するのみであった.出血例は左#11番リンパ節穿刺時に気管支動脈を穿刺したことが原因であり,気管支鏡による吸引のみで止血された.縦隔炎例は検査後に発熱および咳嗽症状が出現し,胸部CTでは穿刺したリンパ節の腫大と周囲縦隔の濃度上昇を認めた.その後,抗菌薬の連日投与のみで軽快しており,いずれの症例も重篤な状態には至らず,順調に回復した.最近まで,縦隔リンパ節転移の診断のgold standardは縦隔鏡検査であったが,EBUS -TBNAは1局所麻酔で行える,2リンパ節内部が観察でき,血流などから壊死部分を避けての穿刺が可能である,3左右主気管支より末梢のリンパ節,つまり#10?12番リンパ節にも穿刺可能である,4大量出血などCurrent Therapy 2011 Vol.29 No.11 9981