カレントテラピー 30-11 サンプル

カレントテラピー 30-11 サンプル page 32/36

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Key words脳微小出血(cerebral microbleeds)の臨床的意義について東京都済生会中央病院内科部長・神経内科部長・脳卒中センター長星野晴彦脳微小出血(microbleeds:MB)は,MRのT2*画像で認められる円形の低信号....

Key words脳微小出血(cerebral microbleeds)の臨床的意義について東京都済生会中央病院内科部長・神経内科部長・脳卒中センター長星野晴彦脳微小出血(microbleeds:MB)は,MRのT2*画像で認められる円形の低信号領域であり,その大きさの上限は5~10mmとして診断されているものが多い.病理学的にはヘモジデリンを貪食したマクロファージが認められることから,微小出血とされている.MBの検索に関しては,病理検査に比べて画像診断のほうが脳全体を詳細に検討できるが,その画像診断もgradient echo法によるT2*画像よりもsusceptibility weighted image(SWI)のほうが感度が高く,磁場強度も強いほど検出率が高い.また,その大きさが数mmであることから,スライス厚の薄さ,gapの有無,さらに3次元撮影かによっても検出率が変わってくる.MBの臨床的意義は,小血管病変が進行していることの傍証であり,そのために脳出血のハイリスク群であることである.一般高齢者を対象としたRotterdam ScanStudyによれば,平均68.5歳の集団で24.4%にMBが認められているが,MBの罹患率は年齢が高いほど高くなっており,45~50歳では6.5%,80歳超では35.7%と報告されている.脳卒中例における検討では,高血圧性脳出血例では50~70%,ラクナ梗塞例では20~40%にMBが合併することが報告されている.MBの発現部位とその病態は大きく2群に分けられる.1)深部大脳半球およびテント下のMB高血圧性脳出血の好発部位に存在するMBは,穿通枝の高血圧性小血管病変によるものと考えられる.高血圧との関連が強く,ラクナ梗塞,白質病変との合併率も高い.また低コレステロール血症との関連も報告されている.2)皮質(下)のMBApolipoprotein E genotypeε4との関連が報告されており,アミロイド血管症によるものと考えられる.また皮質のMBは,認知障害と関連することが示されている.これらのMBの存在はいずれも脳出血の発症率が高いことと関連している.MBの数が多いほど脳出血の発症率は高く,MBの数が多いことは,それだけ小血管病変が進んでいることを示している.アスピリン内服例や,抗凝固薬内服脳出血例でMBが多いことが疫学的に報告されている.したがって,MBが多発する症例においては,これらの抗血栓薬の適応については十分にそのリスクを考慮したうえで決定することが必要である.Current Therapy 2012 Vol.30 No.11119595