カレントテラピー 30-3 サンプル

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治療方針の原則一次予防まず生活習慣の改善を行った後,薬物治療の適応を考慮する二次予防生活習慣の改善とともに薬物治療を考慮するカテゴリー脂質管理目標値(mg/dL)LDL -C以外の*主要冠危険因子LDL-CHDL-CTGⅠ....

治療方針の原則一次予防まず生活習慣の改善を行った後,薬物治療の適応を考慮する二次予防生活習慣の改善とともに薬物治療を考慮するカテゴリー脂質管理目標値(mg/dL)LDL -C以外の*主要冠危険因子LDL-CHDL-CTGⅠ(低リスク群)0<160Ⅱ(中リスク群)1?2<140Ⅲ≧40<1503以上<120(高リスク群)冠動脈疾患の既往<100表2ガイドライン2007年版におけるリスク別脂質管理目標値脂質管理と同時に他の危険因子を是正する必要がある(禁煙,高血圧や糖尿病の治療など).*LDL-C以外の主要冠危険因子加齢(男性≧45歳,女性≧55歳),高血圧,糖尿病(耐糖能異常を含む),喫煙,冠動脈疾患の家族歴,低HDL-C血症(<40mg/dL)糖尿病,脳梗塞,閉塞性動脈硬化症の合併はカテゴリーⅢとする.〔参考文献11)より引用改変〕TCを診断基準から除いた根拠としては,TC値は動脈硬化促進因子であるLDL -Cと動脈硬化抑制因子であるHDL-Cが含まれるからである.すなわち,わが国ではHDL -Cの高い人が多いが,これらの場合LDL -Cが高くなくても,TCが高くなる可能性があり得るからである.では,TCは測定しなくてもよいのであろうか?この点につき現行のガイドライン2007年版では,LDL - CはFriedewaldの式(LDL -C値=TC値-HDL -C値-TG値/5)から求めることを推奨している.国際的にみても今までの治療エビデンスはすべてこの式から求めたLDL -Cで議論されているからである.また,その一方で現行ガイドラインは,管理目標値としてLDL -Cを第一とし,その次にnon -HDL -Cを推奨している.Non -HDL -CはTCからHDL -Cを引いた値として計算される.それゆえ,TCの測定は必要になってくるのである.Ⅲ診断・管理の実際1患者カテゴリー分類初診時のスクリーニング検査ではTC値,TG値,HDL -C値を約12時間絶食後の空腹時に血清を採取し測定する.LDL -C値は原則として上記の数値からFriedewaldの計算式で求める.留意すべきこととして本計算式は食後採血の場合や空腹時採血でもTG値400mg/dL以上の場合には適応されない.なお,LDL -C直接測定法も普及しつつあるが,測定法および基準値が標準化されていないなど課題も残されている.脂質異常症の診断に引き続き,リスク管理のためのカテゴリー分類と管理目標を定めるが,これにはNIPPON DATA80などの大規模国内研究の成績が重視された.目標値を設定するにあたっては,いまだCADを発症していない一次予防と,すでに発症している二次予防にまず大別した.これは,二次予防患者では最初から強力な治療が必要なのに対し,一次予防患者ではまずは生活習慣の改善効果をみてから,治療の強度を決定していくというように治療手段が異なるからである(表2).一次予防についても,LDL-C以外の危険因子の数に応じて,低,中,高リスク群に分類した.この考え方は,NIPPONDATA80で,危険因子の数が増えるほど,CADや脳卒中による死亡率の上昇が明確に示されているからである.また,一次予防でもリスクに応じて,治療に対する考え方が異なり,図2に示したように低リスクでは薬物療法を考慮することはきわめて少なくなり,生活習慣の改善が中心となる.これに対し,高リスクになると,薬物療法も早期から考慮する必要があり,場合によっては二次予防と同様に考える必要がある場合も存在する.特に糖尿病患者や脳卒中既往患者や閉塞性動脈硬化症患者はそれだけで高リスクと判断されるし,これに喫煙が加わっている場合では,積極的かつ早期の薬物療法が必要になるものと思われる.一方,家族性高コレステロール血症(familialhypercholesterolemia:FH)に代表される治療に28Current Therapy 2012 Vol.30 No.3208