カレントテラピー 30-3 サンプル

カレントテラピー 30-3 サンプル page 15/34

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 30-3 サンプル の電子ブックに掲載されている15ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
病態に応じた治療DATA80などの疫学研究で同様の成績が報じられ女性におけるCAD,動脈硬化性疾患の危険因子としての脂質異常症の意義はほぼ確立したといえる.一方,動脈硬化性疾患の発症頻度をみると,わが国の大規....

病態に応じた治療DATA80などの疫学研究で同様の成績が報じられ女性におけるCAD,動脈硬化性疾患の危険因子としての脂質異常症の意義はほぼ確立したといえる.一方,動脈硬化性疾患の発症頻度をみると,わが国の大規模疫学調査では,年齢調整した女性の心筋梗塞の発症率は,35?65歳で男性の約1/5?1/6にとどまった14).閉経後女性でもCADリスクが比較的上昇するものの,男性と比べた場合には絶対リスクは依然として低い.一方で,上述のMEGA studyのサブ解析では55歳以上の女性において,LDL -C低下療法の有効性が示され,一定のリスクのある女性では男性と同様の管理をする必要があることが示された15).さらに急性冠症侯群に対する多施設共同研究(JACSS)では女性の喫煙習慣が冠動脈リスクを上昇させることが示された16).J -LIT studyのサブ解析でも,女性は動脈硬化性疾患の絶対リスクは低いものの,糖尿病を合併する症例では加齢に伴うCADの発症の上昇が顕著であることが明らかになった17).以上から,女性は男性に比べリスクは低いものの,閉経後にリスクが上昇し,特に喫煙習慣や,糖尿病を合併するものについては絶対リスクの上昇が著しく,男性と同様に厳重な管理が必要であるといえよう.これは,男性に比較すると,危険因子がひとつでも存在すると飛躍的に心血管疾患の発症リスクが上昇することが知られているからである.逆に,若年女性における心血管イベントの可能性はきわめて低いことが,NIPPON DATA80でも示され,FHなどの特別な疾患がない限り,原則として薬物療法を考慮しないということも明言された.ただし,妊娠中女性へのスタチン,フィブラート系薬剤投与は禁忌であるので,若年女性に対する投与は厳に慎重を期すべきである.Ⅳおわりに:改訂ガイドラインの方向性以上,現行ガイドライン2007年版について記載したが,前述したように現在新たな改訂ガイドラインが近く公表される予定である.詳細は省くが,改訂の主な方針として1患者カテゴリー層別化における絶対リスクの重視,2慢性腎臓病など新しいリスクの評価と記載,3日本高血圧学会,日本糖尿病学会,日本腎臓学会,日本脳卒中学会,日本老年医学会など複数の学会のガイドラインとの調整を行い,包括的な予防指針を目指すことなどが挙げられる.今後読者諸氏におかれては,改訂ガイドラインを入手されると思われるが,新旧のガイドラインの比較と改訂ガイドラインの新たな考え方について十分ご理解いただきたいことを申し上げて,小稿のまとめと致したい.参考文献1)日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版.協和企画,東京,20072)Ueshima H:Explanation for the Japanese paradox:preventionof increase in coronary heart disease and reduction instroke. J Atheroscler Thromb 14:278-286, 20073)Okamura T, Tanaka H, Miyamatsu N, et al;NIPPONDATA80 Research Group:The relationship between serumtotal cholesterol and all-cause or cause-specific mortality ina 17.3 -year study of a Japanese cohort. Atherosclerosis190:216-223, 20074)Kitamura A, Iso H, Naito Y, et al:High -density lipoproteincholesterol and premature coronary heart disease in urbanJapanese men. Circulation 89:2533 -2539, 19945)Iso H, Naito Y, Sato S, et al:Serum triglycerides and risk ofcoronary heart disease among Japanese men and women.Am J Epidemiol 153:490 -499, 20016)Iso H, Date C, Yamamoto A, et al;JACC Study Group:Smoking cessation and mortality from cardiovascular diseaseamong Japanese men and women:the JACC Study. Am JEpidemiol 161:170 -179, 20057)Baigent C, Keech A, Kearney PM, et al;Cholesterol TreatmentTrialists’(CTT)Collaborators:Efficacy and safety ofcholesterol -lowering treatment:prospective meta -analysisof data from 90,056 participants in 14 randomised trials ofstatins. Lancet 366:1267 -1278, 20058)Baigent C, Blackwell L, Emberson J, et al;Cholesterol TreatmentTrialists’(CTT)Collaboration:Efficacy and safety ofmore intensive lowering of LDL cholesterol:a meta -analysisof data from 170,000 participants in 26 randomised trials.Lancet 376:1670-1681, 20109)Nakamura H, Arakawa K, Itakura H, et al;MEGA StudyGroup:Primary prevention of cardiovascular disease withpravastatin in Japan(MEGA Study):a prospective randomisedcontrolled trial. Lancet 368:1155-1163, 200610)Yokoyama M, Origasa H, Matsuzaki M, et al;Japan EPAlipid intervention study(JELIS)Investigators:Effects ofeicosapentaenoic acid on major coronary events in hypercholesterolaemicpatients(JELIS):a randomised open -label,blinded endpoint analysis. Lancet 369:1090-1098, 200711)Horiuchi H, Kita T, Mabuchi H, et al;J -LIT Study Group:Primary cardiovascular events and serum lipid levels inCurrent Therapy 2012 Vol.30 No.321131