カレントテラピー 30-5 サンプル

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検診確立しておく必要がある.3)全大腸挿入不能時の対応注腸検査やCT colonography(CTC)を追加するなどの対応策が必要である.4)前処置・検査時間の確保TCSでは洗腸剤による前処置に時間を要し,検査に要する時....

検診確立しておく必要がある.3)全大腸挿入不能時の対応注腸検査やCT colonography(CTC)を追加するなどの対応策が必要である.4)前処置・検査時間の確保TCSでは洗腸剤による前処置に時間を要し,検査に要する時間もさまざまである.また人間ドックなど,多くの検査が行われる検診では,TCS専用の特別な時間設定が必要と思われる.5)検査料金検診は保険適用外であるため採算性があり,かつ受診者が受けやすい料金設定を行う必要がある.TCSによる検診は,このような課題がクリアできた場合に施行すべきであり,安易な検診への導入は,重篤なトラブルの原因となりかねないことを,十分に銘記しておく必要がある.現時点では,TCSはIFOBT陽性者など検診後の精密検査,あるいは有症状者や家族歴を有するものに対する精密検査として行うのが適切と考える.しかし,当施設でも人間ドック受診者のTCS希望は多く,一部のコースに限って,限定的にTCSを導入している.Ⅳ検診の事後管理がん検診を評価していくうえで,精度の高い事後管理体制の整備は不可欠である.当施設では,事後管理係として保健師・看護師・事務職員8名を配置し,すべての健(検)診の事後管理を行っている.要精検者に対しては,紹介状とともに精検結果連絡票を同封し,精検終了後に医療機関から返送してもらうようにしている.返送がない場合には,2カ月後と6カ月後に文書による精検受診勧奨を行っており,これによって精検受診率が20%程度上昇する9).また,2009年度からはがん検診の精検受診率100%を目指して,悪性疾患が疑われる症例や急を要する症例に対しては,検診受診当日に提携医療機関に受診予約を行う医療連携サービスを実施している.2009~2010年度の2年間に,このシステムによる紹介者数は人間ドック・集団検診合わせて384例で,精検受診率99.0%,癌症例179例(紹介者の46.6%),癌疑い10例(2.6%)であった.さらに,癌判明時には,医療機関に詳細な調査票の記入を依頼し,院内癌登録を行っている.また,自治体や事業所の保健師と連携して,治療後の経過や予後の把握も行っている.Ⅴ大腸癌検診のエビデンスと将来展望わが国では,大腸癌検診において,FOBTおよび大腸内視鏡検査が科学的根拠のあるがん検診手法とされている.ただし,内視鏡検査は不利益(偶発症)があり,対策型検診としては勧められない,とされている.また,米国がん協会(American CancerSociety)の平均的リスクの人々に対する大腸癌スクリーニングのガイドラインによると,ポリープおよび癌を検出する手法として15年ごとのSCS,210年ごとのTCS,35年ごとの注腸造影検査,45年ごとのCTC,が挙げられている.また,主に癌を検出する手法として1毎年の便潜血検査,2毎年の免疫化学的便検査,3便中DNA検査(間隔未定)となっている.国によって状況は異なると思われるが,わが国における大腸癌検診は,対策型検診においては逐年のIFOBT,任意型検診においては逐年のIFOBTに加えて,各施設の能力に応じた内視鏡検査(SCSまたはTCS)の導入が望ましいと考えている.最近ではPET(PET/CT)検査も普及しており,当施設でも2005年から導入している.2008年度までの4年間に3,556人のPET/CT検診を行い,5例(0.14%)の大腸癌が発見されたが,ほかに2例がIFOBTにて発見されており,PET/CTの感度は71.4%であった.PET検査では,5mm以下の小さな病変や表面型病変は検出されにくく,ある程度進行した癌が標的となる.全身の癌がチェックできるというメリットはあるものの,コストパフォーマンスを考慮すると,検診のスクリーニング検査としては不向きと思われる.一方,高性能MDCTの普及とともに,CTCを行う施設も増えてきている.コスト,前処置,読影,放射線被曝など課題は残るが,数mmの病変まで検Current Therapy 2012 Vol.30 No.538713