カレントテラピー 30-5 サンプル

カレントテラピー 30-5 サンプル page 31/38

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3癌幹細胞の治療抵抗性癌幹細胞は,正常な幹細胞にある細胞周期の休眠状態,薬剤排出ポンプ,抗アポトーシスタンパク質などをもつことで,化学療法の抵抗性を獲得していると考えられる.例えば,グリオーマのCD133陽....

3癌幹細胞の治療抵抗性癌幹細胞は,正常な幹細胞にある細胞周期の休眠状態,薬剤排出ポンプ,抗アポトーシスタンパク質などをもつことで,化学療法の抵抗性を獲得していると考えられる.例えば,グリオーマのCD133陽性細胞はCD133陰性細胞に比べて放射線耐性が強く,乳癌ではCD44 high CD24 lowの細胞集団が化学療法,放射線療法における抵抗性が高い.また術前化学療法により,癌幹細胞表面分子を発現していない細胞集団は消失し,癌幹細胞の割合が増加するとの報告がある.4癌幹細胞は転移・再発に寄与するか癌幹細胞の転移・再発へ直接寄与するとの報告は今のところ限られている.膵癌の先進部にはCD133+CXCR4+の細胞集団が存在する.細胞実験でCD133+CXCR4+の細胞集団を除いても造腫瘍能は維持されているが,転移は抑制されることから,癌幹細胞が転移に寄与することを示唆する報告もある.また乳癌では,幹細胞マーカーであるCD44+CD24 -/lowの集団が胸水や骨髄に存在すると報告されている.5おわりに癌治療法の開発は目覚しいが,癌の根治につながる治療法はいまだ開発されていない.癌幹細胞はその性質上,癌の根治につながる有効な標的である可能性を秘めている.癌の根治に向け,更なる研究の推進が期待される.Current Therapy 2012 Vol.30 No.546389