カレントテラピー 30-6サンプル

カレントテラピー 30-6サンプル page 19/30

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肥満症の病態と治療に関する最近の知見―肥満症医療の新しい地平インクレチン関連薬剤a b s t r a c t*1*2佐藤雄大・山田祐一郎糖尿病の新しい治療薬であるインクレチン関連薬として,GLP-1受容体作動薬が2型糖尿....

肥満症の病態と治療に関する最近の知見―肥満症医療の新しい地平インクレチン関連薬剤a b s t r a c t*1*2佐藤雄大・山田祐一郎糖尿病の新しい治療薬であるインクレチン関連薬として,GLP-1受容体作動薬が2型糖尿病患者に対して広く用いられるようになっている.GLP-1とは,食事に伴って下部小腸より分泌される消化管ホルモンのひとつであり,膵β細胞に作用してインスリン分泌を促す.GLP-1のシグナルは,膵臓以外にもさまざまな作用を及ぼすとされるが,その代表的なものとして食欲抑制,体重減少作用がある.そのため,GLP-1受容体作動薬は,抗肥満薬という観点からも注目されている.現在GLP-1受容体作動薬としてエキセナチドとリラグルチドが販売されているが,海外では,ともに用量依存的に体重減少作用が認められている.今後こうしたGLP-1受容体作動薬が,非糖尿病患者も含めた日本人肥満患者に対して,安全に使用でき,効果があるかどうかについて,用量的なことも含めて検討していく必要があると考えられる.Ⅰはじめにンクレチン,インクレチン関連薬と抗肥満について概説する.糖尿病の新しい治療薬であるインクレチン関連薬として,2009年にdipeptidyl peptidase(DPP)Ⅳ阻害薬が,2010年にglucagon - like peptide - 1(GLP -1)受容体作動薬が相次いで発売され,広く使用されるようになってきている.これらインクレチン関連薬は,膵β細胞においてインスリン分泌を促すことによる血糖降下作用を有するが,従来のインスリン分泌促進薬のデメリットとされる体重増加や低血糖を起こしにくいとされており,また膵β細胞の保護効果も期待されている.こうしたことからインクレチン関連薬は注目を集めている.また,インクレチン関連薬のうち特にGLP -1受容体作動薬には,体重減少作用もあることより,抗肥満という観点からも注目されている.本稿では,こうしたイⅡインクレチンインクレチンとは消化管で産生されて,食事摂取に伴い分泌され,膵β細胞に作用しインスリン分泌を促進させる因子の総称である.上部小腸に存在するK細胞で分泌されるgastric inhibitory polypeptide(GIP),ならびに下部小腸のL細胞で分泌されるGLP -1が,現在インクレチンとして知られている.GIPは42個のアミノ酸からなるポリペプチドであり,主に十二指腸と近位空腸に存在するK細胞で産生される.GIPの一次構造はグルカゴン,セクレチン,vasoactive intestinal polypeptide(VIP)などと相同性が高く,グルカゴンファミリーとして分類*1秋田大学大学院医学系研究科内分泌・代謝・老年内科学講座*2秋田大学大学院医学系研究科内分泌・代謝・老年内科学講座教授78Current Therapy 2012 Vol.30 No.6560