カレントテラピー 30-6サンプル

カレントテラピー 30-6サンプル page 22/30

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治療薬解説依存的に体重減少効果を認めた(リラグルチド投与群,各-4.8kg,-5.5kg,-6.3kg,-7.2kg,Orlistat投与群-4.1kg,プラセボ投与群-2.8kg).GLP-1受容体作動薬(エキセナチドまたはリラグルチド)をB....

治療薬解説依存的に体重減少効果を認めた(リラグルチド投与群,各-4.8kg,-5.5kg,-6.3kg,-7.2kg,Orlistat投与群-4.1kg,プラセボ投与群-2.8kg).GLP-1受容体作動薬(エキセナチドまたはリラグルチド)をBMI 25以上の糖尿病患者,非糖尿病患者に20週以上投与した21の研究をまとめたメタアナリシスの結果では,コントロール群(3,016人)に比べてGLP -1受容体作動薬投与群(3,395人)で-2.9kgの有意な体重減少を認めている10).ⅣDPPⅣ阻害薬先述したとおり,活性化GLP -1はDPPⅣにより速やかに分解されるが,DPPⅣ阻害薬はこのDPPⅣの働きを阻害し,血中の活性化GLP -1の濃度を2~3倍程度に増やすことで,インスリンの分泌を促す薬剤である.血中の活性化GLP -1濃度を増やすもののGLP-1受容体作動薬ほどではなく,体重減少効果は認められない.しかしながら,インスリン分泌を促す薬剤として,体重増加も認められないことから,SU薬にはないメリットがあると考えられている.Ⅴαグルコシダーゼ阻害薬αグルコシダーゼ阻害薬は,オリゴ糖や二糖を単糖に分解する酵素であるαグルコシダーゼの活性を阻害することで,糖質の吸収を遅延させ食後の血糖上昇を抑制する薬剤であるが,近年,αグルコシダーゼ阻害薬が食後の血中インクレチン濃度に影響を及ぼすことがわかってきている.われわれは,日本人2型糖尿病患者に対してαグルコシダーゼ阻害薬であるミグリトールとボグリボースを3カ月間投与し,食事負荷試験において活性型GLP -1とGIP濃度を測定した11).ミグリトール,ボグリボースともに非投与時に比べて食後の活性化GLP -1の濃度が増加する一方で,食後のGIP濃度の上昇が抑制されていたが,特にミグリトールにおいて食後のGIP濃度の抑制が顕著であった.ミグリトールは,K細胞の存在する上部小腸で,より強力に糖の吸収を抑制すると考えられている.この試験では,ミグリトール投与群において3カ月後にベースラインに比べて体重減少が認められたが,こうしたGIP濃度の上昇抑制が体重減少に関連した可能性がある.Ⅵおわりにまだ,こうしたインクレチン関連薬による日本人での抗肥満効果のエビデンスは,はっきりしていないが,実際,臨床の現場ではこうした薬剤で明らかに体重減少する患者も多く認められる.今後,こうした薬剤が一体どういった患者に体重減少効果をもたらすのかについて考えていくことが重要であると考える.また,こうした薬剤が非糖尿病患者も含めた日本人肥満患者に対して,安全に使用でき,効果があるかどうかについて,用量的なことも含めて検討していく必要もあると考えられる.参考文献1)Miyawaki K, Yamada Y, Ban N, et al:Inhibition of gastricinhibitory polypeptide signaling prevents obesity. Nat Med8:738 -742, 20022)McClean PL, Irwin N, Cassidy RS, et al:GIP receptor antagonismreverses obesity, insulin resistance, and associatedmetabolic disturbances induced in mice by prolonged consumptionof high -fat diet. Am J Physiol Endocrinol Metab293:E1746-1755, 20073)Turton MD, O’Shea D, Gunn I, et al:A role for glucagon -like peptide -1 in the central regulation of feeding. Nature379:69-72, 19964)Kendall DM, Riddle MC, Rosenstock J, et al:Effects ofexenatide(exendin-4)on glycemic control over 30 weeks inpatients with type 2 diabetes treated with metformin and asulfonylurea. Diabetes Care 28:1083-1091, 20055)Kadowaki T, Namba M, Imaoka T, et al:Improved glycemiccontrol and reduced bodyweight with exenatide:A double -blind, randomized, phase 3 study in Japanese patients withsuboptimally controlled type 2 diabetes over 24 weeks. JDiabetes Invest 2:210-217, 20116)Dushay J, Gao C, Gopalakrishnan GS, et al:Short -termexenatide treatment leads to significant weight loss in a subsetof obese women without diabetes. Diabetes Care 35:4-11, 20127)Garber A, Henry R, Ratner R, et al;LEAD -3(Mono)StudyGroup:Liraglutide versus glimepiride monotherapy for type2 diabetes(LEAD -3 Mono):a randomised, 52 -week, phaseⅢ, double -blind, parallel-treatment trial. Lancet 373:473 -Current Therapy 2012 Vol.30 No.656381