カレントテラピー 30-8 サンプル

カレントテラピー 30-8 サンプル page 7/28

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与してしまい適切ではない3).さらに血圧値同様に,超微量域から尿中アルブミン排泄量が増加すると連続的にCVDリスクが上昇することも示されている.2アルブミン尿の頻度日本,各国一般住民(general population)....

与してしまい適切ではない3).さらに血圧値同様に,超微量域から尿中アルブミン排泄量が増加すると連続的にCVDリスクが上昇することも示されている.2アルブミン尿の頻度日本,各国一般住民(general population)において,微量アルブミン尿を呈する頻度が予想以上に高いことが4示されている.PREVEND試験)はオランダのフローニンゲン州に住む4万人以上の成人住民を対象に行った前向き研究である.ACR 10~29mg/g,30~299mg/g,>300mg/gを呈したものが,各々23.2%,10.0%,1.1%であった.またFraminghamOffspring Study 5)では,各々20.0%,9.1%,1.2%であった.さらに本邦で行われたTakahata研究では,ACR 30~299mg/g,>300mg/gを呈したものが13.7%,1.7%であり.試験紙法でタンパク尿陽性を呈したものが,4.4%であった6).Ⅲアルブミン尿の臨床的意義1アルブミン尿はGFRと独立してCVDと連関する:CVD発症の予知因子,リスク指標である微量アルブミン尿の下限閾値以下の超微量域から尿中アルブミン排泄が増加するに従って,直線的にCVD発症,心血管・全死亡が増加する.これはCVD高リスク患者(CVD既往,糖尿病)のみならず,一般住民においても同様である.アルブミン尿はCVDのリスク因子(risk factor)と表現されることも多い.しかし,アルブミン尿自体がCVD発症の病因上の要因となり得ることは想定できず,狭義のリスク因子には該当しないため,CVD発症の予知因子(predictor),リスク指標(riskindicator,risk marker)とするのが適切である.CVD高リスク群(CVD既往or糖尿病+1つ以上のリスク因子)を対象とした前向き研究であるHOPE研究では,2mg/mmol(約18mg/g)以上を微量アルブミン尿と定義しCVD発症との連関を検討した.微量アルブミン尿を有すると1次エンドポイント(心筋梗塞,脳卒中,心血管死亡)が1.83倍増加し,心不全による入院が3.23倍増加した.さらに微量アルブミン尿の下限閾値以下の少量のアルブミン排泄量であっても,心筋梗塞,脳卒中,心血管死亡,心不全による入院と関連することが示された7).左室肥大を伴う高血圧患者を対象としたLIFE試験では,複合エンドポイント(脳卒中,心筋梗塞,心血管死亡),各イベントいずれも微量アルブミン尿の下限閾値以下のごく少量域から,発症リスクが増大することが示された8).一般住民(general population)においてもアルブミン尿とCVDとの間に同様の連関が存在する.PREVEND試験では,微量アルブミン尿の定義の下限閾値以下の少量域からアルブミン排泄の増加に伴い直線的に心血管死亡が増加することが示された.約32カ月の観察期間でアルブミン排泄量の2倍化によって心血管死亡リスクが1.29倍,非心血管死亡リスクが1.12倍増加した.Framingham Offspring Study参加者のなかで,非糖尿病,非高血圧者を対象として解析したところ,男性でACR 3.9μg/mg,女性で7.5μg/mgを越えるとCVDリスクが約3倍増大することが示された.各国の一般住民を対象とした計21の臨床研究のメタ解析結果が報告されている.総計105,715人の対象者のなかで,ACR 10~29,30~299,>300mg/gを呈したものが,各々20.7%,9.6%.1.9%であった.ACR 10mg/g以上,推算糸球体濾過量(estimatedglomerular filtration rate:eGFR)60mL/分/1.73m 2以下になると全死亡,心血管死亡が増加することが示された(図2)9).両者は相互に独立し,かつ既存のCVDリスクとも独立して死亡リスクに関連している.2アルブミン尿は末期腎不全への移行とも関連するアルブミン尿がCVDと強く連関することをこれまで強調してきた.アルブミン尿は腎機能障害進行とも関連することが示されている.PREVEND試験の参加者のなかで微量アルブミン尿域において,高血圧,糖尿病,脂質異常症などとは独立して,オッズ比1.3で,新規の腎機能障害(GFR<60mL/分/1.73m 2)が発症することが判明した10).アルブミン尿の存在は,より直近では脳卒中,虚血性心疾患10Current Therapy 2012 Vol.30 No.8738