カレントテラピー 30-8 サンプル

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心腎連関の病態心血管病死亡のハザード比(95%CI)1412108642015~29 30~44 45~59 60~74 75~89 90~104≧105eGFR mL/分/1.73m 230~299 mg/g≦10 mg/g尿中アルブミン排泄量ACR図2一般住民におけるGFR,尿中アル....

心腎連関の病態心血管病死亡のハザード比(95%CI)1412108642015~29 30~44 45~59 60~74 75~89 90~104≧105eGFR mL/分/1.73m 230~299 mg/g≦10 mg/g尿中アルブミン排泄量ACR図2一般住民におけるGFR,尿中アルブミン排泄量と心血管病による死亡リスクeGFR 60mL/分/1.73m 2未満の腎機能低下およびACR 10mg/g以上のアルブミン尿は独立して心血管病死亡リスクと関連する.eGFR 90~104mL/分/1.73m 2,ACR 5mg/gをreferenceとしたハザード比.〔参考文献9)より引用改変〕などのCVDの発症と連関しているが,より長年月の経過では腎機能障害の発症とも関連している.3アルブミン尿とタンパク尿との相違:量的な相違にとどまらないアルブミン尿はCVD発症の強力な予知因子,指標(predictor,risk marker)である.タンパク尿の存在はCVDリスクとも連関するが,同時に腎機能障害発症のリスク因子である.このように両者は単に尿中に漏出するアルブミン量の量的な相違にとどまらず,臨床的意義が異なることが示されている.このことは両者の出現メカニズムが相違することを想起させる.2型糖尿病(Pima Indian)を対象として,デキストランを用いて微量アルブミン尿群とタンパク尿群間の糸球体係蹄壁における透過性変化の相違が詳細に解析されている(図3)11).異なるサイズを有する各種の中性デキストラン分子を用いて,ふるい係数(filtration coefficiency)を計測すると,タンパク尿期においては大分子量デキストランの透過性が亢進(shunt形成)し,size selectivityが大きく破綻している.しかし,微量アルブミン尿期ではこのような変化は認められていない.興味深いことにsize selectivityの変化はアルブミン尿期からタンパク尿期にかけて連続的に変化するものではなく,ある分岐点で突然,変化することも明らかになった.同時に組織学的な解析も行われており,タンパク尿期になると糸球体上皮細胞・足突起の変化が顕在化した.アルブミン尿とタンパク尿は臨床的意義,出現メカニズムが異なるものであると考えられる.Ⅳアルブミン尿出現と心血管病との連関のメカニズム1アルブミン尿とCVDの連関メカニズム:共通病態の存在アルブミン尿はなぜCVDと強く連関するのだろうか.そもそもどのようなメカニズムで出現するのであろうか.ごく微量の尿中へのアルブミンの漏出がCVDの原因となることはあり得ないであろう.アルブミン尿出現の予知因子として,加齢,糖尿病,高血糖,高血圧,脂質異常症,肥満,喫煙が挙げられている.これらは同時にCVDの古典的リスク因子でもある.アルブミン尿とCVD発症は共通リスク因子をもつがゆえに,連関すると考えることも可能である.しかしながら,共通リスク因子のみではアルブミン尿出現の一部しか説明できない.その一部ではアルブミン尿の出現に24時間血圧,中心血圧,自律神経系機能異常などの関与も報告されており,Current Therapy 2012 Vol.30 No.873911