カレントテラピー 30-9 サンプル

カレントテラピー 30-9 サンプル page 4/28

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明日を見据えた前立腺癌診療企画国立病院機構東京医療センター泌尿器科医長斉藤史郎前立腺癌の診断と治療,最近の動向日本人の長寿化および前立腺特異抗原(prostate specific antigen : PSA)検査の普及とともに高....

明日を見据えた前立腺癌診療企画国立病院機構東京医療センター泌尿器科医長斉藤史郎前立腺癌の診断と治療,最近の動向日本人の長寿化および前立腺特異抗原(prostate specific antigen : PSA)検査の普及とともに高齢者の前立腺癌が増えてきており,その対応およびスクリーニングや検査の適応が問題となっている.この特集の企画にあたり,日本の社会性と日本人の前立腺癌の特徴を理解し,国内における前立腺癌のスクリーニング法,診断法,そして治療法がどのようなものであるべきかを見いだせればと考えた.前立腺癌の治療方法の根幹は手術,放射線,ホルモンであることは長年変わりないが,病気が早期に発見される機会が増すにつれ,根治治療が実施されることが多くなってきた.前立腺全摘手術は根治治療として長く一般的に行われてきたが,その手法は腹腔鏡手術,ミニマム創手術,ロボット支援手術と進化し,多様化もしている.また,放射線治療においても三次元原体照射(3D -CRT),強度変調放射線治療(IMRT),高線量率(Ir-192)小線源療法,低線量率(I -125)小線源療法,粒子線治療と同様に進化し,多様化している.その他にも高密度焦点式超音波治療(HIFU)がいくつかの施設で実施され,米国においては凍結療法も行われている.ホルモン療法に関しても使用される薬剤および使用方法は進化しており,今後も新たな薬剤の登場が期待されている.これらの治療法の進化は治療の一層の有効性と安全性を追求したものであり,その成果として再発率が低下し治療に伴う生活の質(QOL)が向上した.しかし治療法が多様化したことでその選択が困難を極め,治療方法を決められずにさまよう患者も増えている.そこで本特集では,治療方法選択のための観点を根治性とQOLの両面におけるようなものとした.治療方法の選択の際にリスク分類が考慮されることが一般的になっているが,各治療方法が確立され,技術が安定するにつれて低・中リスク症例に対する治療成績は向上している.しかし高リスク症例はどのような治療法を用いても満足のいく成績が得られないのが現状である.そこで座談会では「高リスク前立腺癌に対する治療戦略」と題して,手術,外照射,小線源治療を積極的に高リスク症例に対して行っている先生方に,それぞれの治療法の真意や方針に関して話しをしていただいた.本特集では,前立腺癌診療の各分野で高名であり,しかも油の乗った世代の先生方に執筆および座談会をお願いしたが,出来上がったものを見ると企画者の意図が見事に反映されており,期待を大きく上回る内容となっている.この特集で示されたことが,今後日本での前立腺癌診療の方向性を示すものになると確信している.Current Therapy 2012 Vol.30 No.98757