カレントテラピー 31-10 サンプル

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Current Therapy 2013 Vol.31 No.10 11食塩摂取量の現状1008Ⅳ 食塩(Na)とK摂取の関係『平成23年国民健康・栄養調査報告』における,性・年齢階級別にナトリウム(Na)とカリウム(K)の平均摂取量とその両者の比(Na/K)を求め表2に示す.すでに示したように食塩(Na)の摂取量は,男女とも70歳代以上を除き年齢階級が上がるにつれて高値となる傾向が認められる.一方,Kの摂取量についても,同様の傾向が認められる.しかし,Naに比べK摂取量の増加率は高い.このため,Na/Kは年齢階級が上がるにつれて低値を示している.Kは野菜や果物に多く含まれ,高血圧の予防や治療にとって有効な栄養素であることは広く知られているところであり,食塩(Na)の摂取量とともにその摂取量などについて留意しておくことが望まれる.Ⅴ 日本人の食塩摂取量および食塩摂取密度の推移1 全国的な食塩摂取量の推移わが国における食塩摂取量の調査成績としては,1952年に福田らが秋田県で実施した調査で1人1日平均26.3gと報告されている4),労働科学研究所が実施した調査においても,東北地方の農民を中心に1人1日平均18~27g前後の非常に高いレベルでの食塩摂取が認められている5),6).また,国民栄養調査(現在の国民健康・栄養調査)において食塩摂取量(Naの摂取量から換算)の調査結果が示された1975年の1歳以上の国民1人1日当たりの平均は14.0gであったが7),『平成23年国民健康・栄養調査』においては10.1gであり,36年間に3.9gの低下が認められたことになる.2 地域ごとでの食塩摂取量の推移国民栄養調査,国民健康・栄養調査による,地域ブロックごとでの食塩摂取量の推移を見ると全般的に東日本で高く,西日本で低い,いわゆる「東高西低」の状況にある(図4).この要因としてはいくつかの理由が考えられるが,摂取量が多い東北地方などの地域では,過去に冬期の保存食として利用されていた野菜や魚介類の塩蔵品などが現在でも好まれる傾向が認められている.食品の流通や保存(冷凍冷蔵庫の普及など)が格段に改善した現在においても,これまでに深く根づいた食習慣が,食塩の摂取に影響を与えているものと考えられる.いずれの地域においても,食塩の摂取量は減少傾向が認められる.また,地域間での摂取量の差も次第に小さくなっている.しかし,地域間における相対的な摂取量の位置づけにはほとんど変化はなく,「東高西低」の傾向に大きな変化は認められない.3 食塩摂取密度の推移1975年当時1歳以上の国民1人1日当たりの平均エネルギー摂取量は2,188kcalであり,2010年は1,840kcalであったことから,食塩摂取量の変化に対してエネルギー摂取量の減少が影響を与えているこ男性女性Na K Na/K Na K Na/K20歳代4,212 2,081 2.02 3,447 1,743 1.9830歳代4,252 2,096 2.03 3,432 1,851 1.8540歳代4,360 2,113 2.06 3,727 1,975 1.8950歳代4,702 2,344 2.01 4,012 2,277 1.7660歳代4,824 2,593 1.86 4,080 2,458 1.6670歳代以上4,378 2,505 1.75 3,787 2,316 1.64Na :Na摂取量(mg/日)K :K摂取量(mg/日)Na/K :Na摂取量(mg/日)/K摂取量(mg/日)注):食塩(g) = Na(mg)* 2.54 / 1,000表2食塩(Na)とK摂取量の関係〔平成23年国民健康・栄養調査結果より算出〕