カレントテラピー 31-2サンプル

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(%)1009080患70者60の割50合40302010013%21%66%試験前正常尿p<0.00110%21%69%3カ月微量アルブミン尿p<0.0016%顕性タンパク尿20%微量アルブミン尿74%正常尿6カ月顕性タンパク尿図6腎神経アブレーションによる....

(%)1009080患70者60の割50合40302010013%21%66%試験前正常尿p<0.00110%21%69%3カ月微量アルブミン尿p<0.0016%顕性タンパク尿20%微量アルブミン尿74%正常尿6カ月顕性タンパク尿図6腎神経アブレーションによるタンパク尿の改善腎神経アブレーションで,本態性高血圧患者の顕性タンパク尿,微量アルブミン尿の患者の割合が減少し,正常アルブミン尿の患者が増加した.〔参考文献15)より引用改変〕遠心性腎交感神経輸出細動脈を締めるAngⅡ糸球体血管内圧を上昇させる→尿タンパクが増加図7腎交感神経活動亢進がタンパク尿を生じる機序腎交感神経は輸出細動脈により多く分布し,血管を収縮させる.これによって糸球体血管の内圧が亢進して,タンパク尿が生じる.したがって図6のように腎神経アブレーションによりアルブミン尿,タンパク尿が改善したのは,糸球体内圧が低下したことによると考えられる.〔筆者作成〕上記と同様のドイツのコホートの本態性高血圧患者37人に腎神経アブレーションを行ったところ,3カ月後に血糖,インスリン濃度およびインスリン抵抗性を表すHOMA -IR(空腹時血糖×インスリン濃度/405)が改善した(図8)16).糖尿病と診断されていた患者は37人中14%だったが,腎神経アブレーションにより6%へ減少した.耐糖能正常の患者は32%だったが,アブレーションにより43%へ増加した(図9).この結果は,腎神経アブレーションで交感神経活動を低下させることにより,骨格筋などの血管収縮が緩和され,血流が増加して血液から筋肉への糖の取り込みが改善したことが機序だと考えられる.また交感神経抑制により糖新生が低下した可能性もある.この臨床データも腎神経アブレーションにより腎以外の臓器への遠心性交感神経活動が抑制されることを示している.麻野井のグループ17)は,世界に先駆けて2002年に,腎神経除去が心不全ラットの心機能を改善することを報告している.冠動脈を強く結紮すると生存したラットは心不全になる.しかし,あらかじめ腎神経を除去しておくと,Na利尿が亢進し左室拡張末期径が減少し,心収縮性が増加した.腎臓への遠心性交感神経活動が亢進するとNa再吸収が増加するので,腎神経アブレーションがNa利尿を促進したと考えられる.この結果から,腎神経アブレーションは心不全患者の症状,心機能,あるいは予後を改善72Current Therapy 2013 Vol.31 No.2184