カレントテラピー 31-2サンプル

カレントテラピー 31-2サンプル page 21/34

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治療抵抗性高血圧―原因と対策のキーポイント治療抵抗性高血圧に対する降圧薬併用療法a b s t r a c t*崎間敦3剤以上の適切な用量の降圧薬(そのうち1剤は利尿薬)を用いても140/90mmHg未満の目標血圧〔糖尿病や慢....

治療抵抗性高血圧―原因と対策のキーポイント治療抵抗性高血圧に対する降圧薬併用療法a b s t r a c t*崎間敦3剤以上の適切な用量の降圧薬(そのうち1剤は利尿薬)を用いても140/90mmHg未満の目標血圧〔糖尿病や慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)合併症例では130/80mmHg未満〕を達成できていない,あるいは達成できているものの4剤以上の降圧薬を必要とする高血圧を治療抵抗性高血圧と定義している.治療抵抗性高血圧患者は心血管および腎イベントのリスクが高いことから,その対策はきわめて重要である.治療抵抗性高血圧の治療の原則は,生活習慣の修正と降圧薬の併用療法である.治療抵抗性高血圧の病態は単一ではないことから,個々の病態に応じた降圧薬の選択が必須である.目標血圧に到達しない場合の第4次薬として,アルドステロンブロッカーの降圧効果に関するエビデンスが蓄積されてきている.一方,交感神経抑制薬の追加投与やクロノセラピーの有用性も示されている.本稿では,治療抵抗性高血圧における降圧薬の併用療法のすすめ方について概説する.Ⅰはじめに3剤以上の降圧薬(そのうち1剤は利尿薬で,その他の薬剤は忍容性が認められる最大用量)を用いても目標血圧140/90mmHg未満〔糖尿病,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)合併例では130/80mmHg未満〕まで降圧しない場合,あるいは目標血圧は達成しているものの4剤以上の降圧薬を必要とする高血圧を治療抵抗性高血圧と定義している1),2).治療抵抗性高血圧の病態の主なメカニズムは,体液貯留,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)および交感神経系の亢進である1)~5).これらは密接に関連し悪循環を形成している.理論的には利尿薬の適正使用に加えてRAASおよび交感神経系の抑制により有効な降圧が期待されるが,実臨床の現場では利尿薬の選択や投与量が不適切であること,単純に降圧薬の増量や同じクラスの併用療法が行われることが少なくない6).治療抵抗性高血圧における併用療法の次の一手として,アルドステロンブロッカー1)~3),5),7)~14)や交感神経1)~4), 15), 16抑制薬の追加投与),さらにクロノセラピー17), 18)の有効性が示されている.本稿では,治療抵抗性高血圧における降圧薬の併用療法について概説する.Ⅱ併用療法の見直しと薬剤調整主治医の降圧治療への取り組みが血圧のコントロール状況に影響する19), 20).すなわち,現状の血圧値に満足し,消極的な降圧治療にとどまっていることが,血圧コントロール不十分な要因のひとつになっている19).また,医師自身の心血管疾患のリス*琉球大学保健管理センター准教授92Current Therapy 2013 Vol.31 No.2204