カレントテラピー 31-2サンプル

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治療抵抗性高血圧―原因と対策のキーポイント―企画獨協医科大学循環器内科主任教授石光俊彦エディトリアル現在,臨床においては100種類近い降圧薬が使用可能であり,それらを併用して投与することにより,単に血圧....

治療抵抗性高血圧―原因と対策のキーポイント―企画獨協医科大学循環器内科主任教授石光俊彦エディトリアル現在,臨床においては100種類近い降圧薬が使用可能であり,それらを併用して投与することにより,単に血圧を下げるということに関しては,以前に比べ難渋する場合は少なくなった.特に,Ca拮抗薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)など降圧効果が確実で副作用が少ない降圧薬が中心的に使用されるようになったことや,効果的な組み合わせにより複数の降圧薬を含有する配合剤が導入されたことは,患者の生活の質(QOL)や服薬アドヒアランスの向上に寄与するものであると思われる.一般的に3剤の適切な降圧薬を併用しても,十分な降圧が得られない場合が治療抵抗性高血圧とされている.家庭血圧のモニターを行って治療中の高血圧患者の血圧コントロール状況を調査したJ -HOME研究1)によれば,そのような症例の頻度は約10%であることが示されており,日常の一般的な診療においても該当する症例が決して少なくはないことがうかがわれる.わが国では,降圧薬の併用療法における組み合わせとして,長時間作用型のCa拮抗薬とARBが処方されている場合が最も多いと思われる.これに少量の利尿薬を併用しても十分な降圧効果が認められない場合には,治療抵抗性高血圧としてその原因の検索,診断,治療や,さらなる降圧効果を得るための方策が講じられるべきである.血圧の上昇には,遺伝的な素因とともに神経内分泌系の異常や食塩過剰摂取,ストレスなどの後天的な環境要因が関与しており,治療抵抗性高血圧の原因もそれらの要因に関係することが多く,最終的には腎臓におけるNa排泄障害や末梢血管抵抗の増加が降圧効果の妨げになっていると考えられる.したがって,その原因を同定し除去・改善することが治療抵抗性高血圧に対し効果的なアプローチであることはいうまでもない.特に,二次性高血圧が関係している場合には適切な診断と治療を行うことが絶対的に必要である.今回の特集では,治療抵抗性高血圧の原因として,生活習慣,環境因子,合併疾患,二次性高血圧とともに,睡眠時無呼吸症候群や血圧変動の異常など比較的新しい概念を含め,それぞれ造詣の深い先生方に執筆をお願いした.また,降圧薬治療に加え,近年,検討および導入されつつある電気生理学的治療や免疫学的治療の展望について現況を理解していただくことも目的とした.少子高齢化が進行しつつあるわが国においては,健康寿命を延長することにより,高齢者の社会的活動性を高めることが必然的に望まれ,そのためには心血管疾患や脳,腎臓を含む循環器系臓器障害の危険因子として大きな影響を及ぼす血圧のコントロールを改善することが重要である.そして,その実現には治療抵抗性高血圧に適切に対応することが効果的かつ必要な課題であることを踏まえ,認識を新たにする一助となれば幸いである.参考文献1)Obara T, Ito K, Ohkubo T, et al;J-HOME Study Group:Uncontrolled hypertension based on morning and evening home bloodpressure measurements from the J-HOME study. Hypertens Res 32:1072-1078, 2009Current Therapy 2013 Vol.31 No.21197