カレントテラピー 31-4 サンプル

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心不全の診断と治療の現状―最近のガイドラインの把握と臨床判断再生医療―細胞移植治療の進歩と展望―*1*2林恵美子・細田徹近年,種々の再生医療研究,臨床応用が進められてきたなか,心臓においても組織幹細胞の....

心不全の診断と治療の現状―最近のガイドラインの把握と臨床判断再生医療―細胞移植治療の進歩と展望―*1*2林恵美子・細田徹近年,種々の再生医療研究,臨床応用が進められてきたなか,心臓においても組織幹細胞の存在が示され,この心臓幹細胞の働きによって心筋や冠血管が順次再生されるといった,新たな知見が得られてきている.これまでに,心不全に対する再生医療として,骨格筋芽細胞,骨髄由来細胞,心臓由来細胞など,さまざまな細胞を用いた治療が試験的に行われている.なかでも,c-kit陽性心臓幹細胞の自家移植による重症心不全治療は,いまだ実施症例数は限られているものの,有害事象がなく,長期にわたって持続する目覚ましい治療効果をみせている.こうした臨床試験の成果を総括し,細胞治療の最適化へ向けた考察を加えることで,今後,心不全に対する切り札となり得る治療法を導き出したい.Ⅰはじめに従来,心臓以外の諸臓器では組織幹細胞の存在が知られており,その再生能力を利用した心不全治療が探究されてきた.なかでも骨格筋芽細胞や骨髄由来細胞については多くの臨床試験が行われている.一方,心筋細胞は生涯変わらないと信じられてきたが,2003年,心臓の組織幹細胞,すなわち心臓幹細胞の存在が示された.これにより長年の説が覆され,同細胞の働きにより古い心筋や冠血管が再生され,器官の恒常性が保たれていることもわかってきた.このメカニズムを応用した再生医療が,心不全に対する新しいアプローチとしてすでに臨床応用されている.本稿では,心不全に対するさまざまな細胞を用いた臨床試験を俯瞰し,今後を展望したい.Ⅱ骨格筋芽細胞骨格筋芽細胞は筋肉組織から分離される未分化細胞で,心筋には分化し得ないが,心筋細胞とは対照的に虚血においては比較的耐性で,造腫瘍性が低い利点がある.培養された骨格筋芽細胞の心筋梗塞巣周辺への移植により心機能が改善したという知見に基づき,2001年から臨床応用され始めた1).これらの臨床試験では実に数億個もの細胞が自家移植され,一部の試験では自覚症状や心機能が改善したが,左室リモデリングの抑制は,主として物理的な支持効果ないし細胞外基質の分解抑止,および増殖因子の産生・分泌を通じたパラクライン効果によるものと考えられた.一方,移植後に分化した骨格筋細胞は周囲の心筋とは電気的に結合せず,組織としての統合性・同期性が得られないため,重篤な不整脈を生じるなど安全性が疑問視された.このた*1東海大学創造科学技術研究機構医学部門ポスドク研究員*2東海大学創造科学技術研究機構医学部門特任准教授58Current Therapy 2013 Vol.31 No.4406