カレントテラピー 31-4 サンプル

カレントテラピー 31-4 サンプル page 19/30

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表新規経口抗凝固薬の薬理学的プロファイルダビガトランリバーロキサバンアピキサバンエドキサバン商品名(会社名)プラザキサR(ベーリンガーインゲルハイム)イグザレルトR(バイエル)エリキュースR(ブリストル....

表新規経口抗凝固薬の薬理学的プロファイルダビガトランリバーロキサバンアピキサバンエドキサバン商品名(会社名)プラザキサR(ベーリンガーインゲルハイム)イグザレルトR(バイエル)エリキュースR(ブリストル・マイヤーズ/ファイザー)リクシアナR(第一三共)阻害標的因子トロンビン(第Ⅱa因子)第Ⅹa因子第Ⅹa因子第Ⅹa因子分子量(Da)723.84435.88459.50738.27剤形カプセル錠剤錠剤錠剤服用方法※1日2回※1日1回1日2回1日1回半減期(T1/2)14~17時間7~11時間8~15時間6~11時間最高血中濃度到達時間(Tmax)1.5時間2~4時間1.5~3.5時間1.5時間生物学的利用率6.5%ほぼ100%50%>50%タンパク結合率35%92~95%87%40~59%薬物相互作用P-糖タンパク阻害薬などP-糖タンパク阻害薬CYP3A4阻害薬P-糖タンパク阻害薬CYP3A4阻害薬P-糖タンパク阻害薬CYP3A4阻害薬腎排泄80%33%25%35~39%プロドラッグ○×××※適応疾患により異なる糖タンパク阻害薬(ベラパミルやアミオダロンなど)の併用下では,血中濃度が上昇するため,低用量での使用が望ましい.また,抗真菌薬であるイトラコナゾールの阻害作用は強力なため,併用禁忌とされている.2)大規模臨床試験のエビデンス非弁膜症性心房細動(non -valvular atrial fibrillation:NVAF)患者におけるダビガトランの有効性および安全性に関し,ワルファリンとの比較試験(Randomized Evaluation of Long -term anticoagulanttherapY:RE -LY)3),4)(第Ⅲ相臨床試験)結果が報告されている.本試験では,少なくとも1つ以上の危険因子を有するNVAF患者18,113例を,ダビガトラン300mg/日群,ダビガトラン220mg/日群,ワルファリン群の3群に無作為に割り付けし,平均2年間の追跡調査が行われた.主要評価項目である脳卒中および全身性塞栓症は,220mg/日群ではワルファリン群と同等であり,300mg/日群で35%少なかった(図2).一方,ワルファリン群と比べ,大出血は220mg/日群で有意に少なく,頭蓋内出血は220mg/日群で70%,300mg/日群で59%少なかった.その後に行われた出血に関するRE -LY試験のサブ解析の結果から,高齢,腎機能障害,抗血小板薬の併用が,ダビガトラン使用下の大出血に強く関与することが明らかにされた5).日本人326例のRE -LY試験サブ解析も行われ,ダビガトランの有効性および安全性は,RE -LY試験全体の成績と同様の傾向を示すことが報告された6).また,RE -LY本試験におけるダビガトラン服用時の有害事象は消化不良(dyspepsia)が最も多く,ワルファリンの5.8%に対し,220mg/日群で11.8%,300mg/日群で11.3%であった.Ⅳ第Ⅹa因子阻害薬凝固カスケードにおいて,第Ⅹa因子は,第Ⅴa因子と結合・複合体を形成し,プロトロンビンをトロンビンに変換する(図1).このカスケードは増幅反応であり,第Ⅹa因子1分子により,トロンビン138分子が産生される7).この増幅反応を阻害することで,効率よくトロンビン産生を阻害し,血栓形成を抑制することができる8).また,トロンビンは,凝固促進作用のみならず,炎症作用や細胞増殖作用,抗凝固作用といったさまざまな生理作用をもつことが報告されている9).第Ⅹa因子阻害薬は,トロンビンの新規産生を阻害する一方,既存のトロンビン自体には影響しないので,トロンビンの多様な生理作用を保持しつつ,凝固促進作用を抑えるという点で合理的である10), 11).代表的な第Ⅹa因子阻害薬として,リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンの3種類があるが,2012年末現在,“NVAF患者78Current Therapy 2013 Vol.31 No.4426