カレントテラピー 31-7 サンプル

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Current Therapy 2013 Vol.31 No.7 57原発性アルドステロン症研究の最前線723CYP11B1 遺伝子とCYP11B2 遺伝子の相互転座が原因であり, グルココルチコイド応答配列がCYP11B2 遺伝子上流に付加されることにより発症する.一方,家族性で最も頻度が高くPAの3~5%ともいわれるFH Ⅱ型,およびFH Ⅲ型についてはこれまで原因が不明であった.Choiらは,上記のAPAにおけるKCNJ5体細胞変異の報告と同時に,FH Ⅲ型に新たなKCNJ5胚細胞遺伝子変異(T158A)を発見した.この変異では,両側副腎に球状層よりも束状層由来の著明な過形成を示し,小児期に発症し重篤なPAの病態を呈する.全例が,スピロノラクトン抵抗性で両側副腎摘出を施行されていた6).その後,T158Aと類似の病態を示すG151R,I157Sの胚細胞変異の家系が報告され,さらにこれらの変異の特徴と異なるG151E変異家系も報告され注目されている.G151E変異症例では,両側性過形成を認めずアルドステロン症が比較的軽症とされている.G151E変異の細胞における検討では,他の変異と比較し変異KチャネルからのNaイオンの流入が非常に大きいため,浸透圧変化が著明で細胞死を引き起こすことが両側性過形成を認めないことと関係している可能性があると報告されている4), 15).Ⅴ 欧米におけるKCNJ5 体細胞変異をもつアルドステロン産生腺腫の臨床的特徴Choiらの報告以来,欧米を中心にAPAにおけるKCNJ5体細胞変異の頻度が複数の施設で検討されてきた.これまでの報告を合わせると,860例中340例(約40%)に変異が認められている4).G151RがL168Rより高頻度に認められ,その他まれな変異として,Glu145Gln,Thr158Ala,Lle157delが報告されている.さらに,臨床的な特徴としては,KCNJ5変異症例は男性より女性に多く,変異症例の70%以上が女性とされる.また変異をもつ症例は変異のない症例と比較し,若年発症で高アルドステロン血症,G151RG/C末梢血DNA 腫瘍cDNAL168RG151RG/A末梢血DNA 腫瘍cDNA末梢血DNA 腫瘍cDNAA T T A T A T T A TTTG G TGGG G GC CC T CT T TGGCIL L LC T C C C T T GL LY I G/R YA T T G G T A T A T T T A TGG G GGAI Y G/RL/RI Y40T P30L30図2アルドステロン産生腺腫(APA)におけるKCNJ5 遺伝子体細胞変異G151RG/A, G151RG/C, L168RいずれにおいてもKCNJ5 遺伝子変異は末梢血DNAには認めず体細胞変異である.〔参考文献17)より引用〕