カレントテラピー 31-7 サンプル

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74 Current Therapy 2013 Vol.31 No.7740Ⅴ 薬物的アブレーション機序PAの原因として最近では腺腫においてはKCNJ5やATP1A1 ,ATP2B3 などの原因遺伝子が同定されているが,まだ不明なことが多い.また,両側性病変に関しては,いまだにその要因は解明されていない,いくつかの要因として遺伝子レベルでの変化によるレニン,アンジオテンシンⅡに対するアルドステロン分泌の感受性増大,何らかのアルドステロン刺激因子の存在,アルドステロン分泌に関与する異所性受容体の存在,が考えられている.SPやその代謝産物がアルドステロン合成を抑制するという報告はこれまでに数多くあるが,その抑制は,薬物を投与中のみと考えられ,寛解まで起こるには,組織的変化あるいは遺伝子学的変化が起こっていることが必要と考えられる.SP投与により,SP小体が形成されることは古くから知られている.そこではステロイド合成が消失しており,これが寛解に関係している可能性もある.また,われわれは,アルドステロン合成酵素であるCY11B2活性がメチル化などのエピジェネティクスにより影響を受けることを報告している11).一般的に薬剤がこのエピジェネティクスに影響を与えることはよく知られており,寛解現象においてはこのような現象が起こっている可能性もある.Ⅵ スピロノラクトンとエプレレノンアルドステロンブロッカーには現在,SPとEPがある.これまでの薬剤による寛解現象はSPによるものが主でEPによるものはない.そこでわれわれは,SPとEPの長期投与によるPAの寛解現象および心血管に対する影響を検討した.対象はカプトプリル負荷試験にて診断され3年以上MR -Ant〔SP 47例,EP 45例〕を投与されたPA患者92名.66例にAVSを行い片側性病変は16例,両側性病変は50例であった.AVSを行わなかった26例は病型不明とした.アルドステロンブロッカーを3カ月休薬しカプトプリル負荷試験を行い評価した.カプトプリル負荷試験陰性化,血圧が正常化したものを完全寛解とし,カプトプリル負荷試験のみ陰性化したものを部分寛解とした.結果は,アルドステロンブロッカーの平均投与期間は4.3年(3~6年,SP投与群 5.2年,EP投与群3.7年)であった.SP投与群では寛解例は9例(19%).その内訳は,完全寛解は片側性病変1例,両側性病変2例,病型不明2例の計5例(11%)で部分寛解は片側性病変0例,両側性病変3例,病型不明1例の4例(9%)であった.EP投与群では寛解例は4例(8%).その内訳は,完全寛解は認めず,部分寛解は片側性病変0例,両側性病変2例,病型不明2例の4例(8%)であった(表).寛解群ではアルドRemission Rate after SP treatmentCR PRUPA(10 cases) 1(2.1%, 10%) 0 1(2.1%, 10%)BPA(22 cases) 2(4.2%, 9%) 3(6.3%, 13.6%) 5(9%, 23%)Unkown(15 cases)2(4.2%, 13%) 1(2.1%, 7%) 3(6.3%, 20%)(47 cases) 5(11%) 4(9%) 9(19%)Remission rate after EP treatmentCR PRUPA(6 cases) 0 0 0BPA(28 cases) 0 2(4%, 7%) 2(4%, 7%)Unknown(11 cases)0 2(4%, 18%) 2(4%, 18%)(45 cases) 0 4(8%) 4(8%)表アルドステロンブロッカーによる自然寛解率スピロノラクトン平均投与期間:5.2年数字:エプレレノン平均投与期間:3.3年黒字:全症例に対しての寛解率赤字数字:各々のサブタイプに対する寛解率UPA:unilateral PA,BPA:bilateral PA,Unknown:Subtype unknown CR:complete remission,PR:partial remission,SP:Spironolactone, EP:Eprelenone