カレントテラピー 31-7 サンプル

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8 Current Therapy 2013 Vol.31 No.7674Ⅰ はじめに原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)の診療ステップの基本は①高血圧患者からのスクリーニング,②機能確認検査,③局在・病型診断,④治療方針の決定,である.機能確認検査はアルドステロンが自律性かつ過剰に分泌されていることを確認する内分泌学的な検査,局在・病型診断は,病変が片側性か両側性か,あるいは右副腎か左副腎かを診断する検査,治療方針は手術適応か,あるいは薬物治療かを選択することである.近年,世界的に本疾患の診断が注目されたことから,海外では米国内分泌学会から,わが国では日本高血圧学会と日本内分泌学会からガイドラインが発表されている.ガイドラインは診療における「道案内」であり基本コンセプトは同じであるが,作成された経緯や医療環境などの差により,詳細部分には違いが認米国とわが国の診療ガイドラインの現状と課題成瀬光栄*1・立木美香*2・難波多挙*2・中尾佳奈子*2・垣田真以子*2・植田良平*2・津曲 綾*2・臼井 健*3・田上哲也*4・島津 章*5・田辺晶代*6原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)は1)高血圧に占める頻度が高い,2)治癒可能である,3)治療抵抗性高血圧の重要な原因である,4)脳・心血管系・腎の合併症が多い,などの理由から早期診断と治療が重要である.これまで米国内分泌学会,日本高血圧学会,日本内分泌学会から診療ガイドラインが発表されている.いずれも①高血圧患者からのスクリーニング,②アルドステロンの自律性過剰分泌を確認する機能確認検査,③病変部位を確認する局在・病型診断,④治療方針の決定,が基本的なステップである.ガイドラインは診療における「道案内」であり,基本的にガイドラインに準拠して日常診療にあたる必要がある.しかしながら,各ガイドラインは作成された経緯や医療環境などの差により,スクリーニング対象や方法,機能確認検査の種類と数,局在診断における副腎静脈サンプリング(adrenal venous sampling:AVS)の位置づけなど,詳細部分は異なっている.それゆえ,今後,ガイドラインのさらなる標準化が必要であると同時に,実診療ではガイドラインを機械的に適応するのではなく,個々の患者の状況に応じて適切に検査を実施し,治療方針を決める必要がある.ガイドラインには種々の課題が残されている.PAは頻度の高いcommon diseaseであることから,診断の各プロセスの簡素化と非侵襲化が必須である.特に,AVSは実施適応の選択とその実施施設の集約化が必要と考えられ,今後,より多数例でのエビデンスの構築とそれに基づいたガイドラインの改訂が必要である.*1 国立病院機構京都医療センター臨床研究センター副センター長・内分泌代謝高血圧研究部部長*2 国立病院機構京都医療センター内分泌代謝内科*3 国立病院機構京都医療センター臨床研究センター臨床内分泌代謝研究室長*4 国立病院機構京都医療センター内分泌代謝内科診療科長*5 国立病院機構京都医療センター臨床研究センターセンター長*6 東京女子医科大学第二内科講師原発性アルドステロン症―診断と治療の新展開