カレントテラピー 32-7 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.7 19635Ⅰ はじめに狭心症の診断において,症状を正確に聴取し冠血管危険因子を把握することが最も重要な出発点である(図1)1).胸痛が主訴の場合,胸痛の部位,性質,出現の状況や消失の仕方,持続時間を聴取する.痛みの部位は正中部,胸骨裏面が典型的だが,狭心痛は関連痛であるため漠然とした部位であることも多い.放散痛としては背中,上腕,首,喉,歯,後頭部,心窩部などが痛みの出現する部位であり,放散痛が唯一の訴えの場合や,労作時などに同部位に痛みを訴えた場合には,狭心症を鑑別診断に置くことが重要である.痛みの性質は鮮明な痛みよりも「圧迫される」=胸部圧迫感,「絞られる」=胸部絞扼感が典型的である.狭心痛の出現は身体的労作や精神的ストレス,寒冷などによっても誘発されるが,持続時間は数分以内であることが多く,労作で誘発される場合は労作中止後1~2分で消失するため,30分以上に及ぶ場合は非虚血性か心筋梗塞への進展を考える必要がある.労作時呼吸困難が主訴の場合,呼吸器疾患などの評価も行う必要があるが,狭心症の症状の場合は速効性硝酸薬の使用により1~2分以内に消失することが特徴である.無症状であっても,冠血管危険因子を考慮し冠動脈の評価を要する場合もある.Ⅱ 狭心症診断における検査方法症状の原因が冠動脈狭窄による心筋虚血に起因することを証明する検査を行う.そのため冠動脈の狭窄病変を解剖学的に評価し,さらに心筋虚血を生理学的に評価することが必要である.解剖学的に評価する方法は非侵襲的検査として冠動脈CT,冠動脈狭心症の診断の進め方宮崎 徹*1・磯部光章*2狭心症の診断において,症状を正確に聴取し冠血管危険因子を把握することが最も重要な出発点である.狭心症の胸痛は鮮明な痛みよりも「圧迫される」=胸部圧迫感,「絞られる」=胸部絞扼感が典型的であるが,無症状であっても,冠血管危険因子を考慮し冠動脈の評価を要する場合がある.診断の役割として重視されるべきことは,治療方針の決定および予後に対するインパクトであって,必ずしも新しい検査法が優れているとは限らないため,狭心症の病態把握,診断を進めていくうえで,各検査法の特質,診断性能,どのような診断目的や病態解析に有効か,またどのようなピットホールがあるか,を熟知する必要がある.狭心症の診断を進めるにあたり,生理学的評価方法について①運動負荷心電図,②ドブタミン負荷心エコー,③心筋シンチグラフィ,④心臓MRI,⑤冠血流予備量比,について概説する.*1 青梅市立総合病院循環器内科*2 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科循環制御内科学教授虚血性心疾患― 診断と治療の最前線