カレントテラピー 32-7 サンプル

カレントテラピー 32-7 サンプル page 25/32

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 32-7 サンプル の電子ブックに掲載されている25ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 32-7 サンプル

72 Current Therapy 2014 Vol.32 No.7688Ⅰ はじめに薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent:DES)は本邦において2004 年に認可され実臨床において使用可能となった.第1世代DESであるシロリムス溶出性ステント(sirolimus-eluting stent:SES)とパクリタキセル溶出性ステント(paclitaxel -elutingstent:PES)が使用可能となり,冠動脈ステント留置後の再狭窄率を10%以下に低下させた.現在では経皮的冠動脈インターベンション(percutaneouscoronary intervention:PCI)においてDESの使用が大半を占めている.一方で,従来の金属製ステント(bare-metal stent:BMS)では問題として認識されていなかった遅発性ステント血栓症や遅発性再狭窄などの遅発性有害事象の発症が問題点として指摘されている.ステント血栓症の予防のためにアスピリンとチエノピリジン系抗血小板薬の併用投与(dualanti -platelet therapy:DAPT)が主流となっているが,その継続すべき期間についての明確な指針はいまだない.チエノピリジン系薬剤の中止が血栓症を誘発するのではないかとの懸念があるからである.一方でDAPTを継続することは出血性合併症を増す危険性を内在しており,その両者のトレードオフで比較すべき問題である.本稿では,PCI後の抗血小板療法について問題点と今後の展望を概説する.Ⅱ 本邦におけるステント血栓症の現状チエノピリジン系薬剤はBMS留置後1カ月間のアスピリンとの併用でステント血栓症の発生を抑制すPCI後の抗血小板療法中川義久** 天理よろづ相談所病院循環器内科部長虚血性心疾患― 診断と治療の最前線現在のPCIにおいてDESの使用が大半である.DES植込後には,ステント血栓症が年率0.26%と発生率は低いもののリスクが持続していることが問題である.ステント血栓症予防のためにアスピリンとチエノピリジン系抗血小板薬の併用投与(dual anti-platelet therapy:DAPT)が主流となっているが,その継続すべき期間については明確な指針はない.DAPTを継続することは出血性合併症を増す危険性があり,その両者のトレードオフで比較すべき問題である.第2世代DESの登場によって臨床成績が向上し,ステント血栓症は減少している.そのなかでDAPTの期間を短縮しても安全性が保たれるという方向の報告が続いている.また,抗血小板薬として新規の薬剤の開発も進んでいる.本稿では,PCI後の抗血小板療法について問題点と今後の展望を概説する.抗血小板療法を含む抗血栓薬の使用においては,有効性の背後に,出血性イベントの増大という安全性の懸念が常にあることに留意しなければならない.a b s t r a c t