カレントテラピー 32-7 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.7 73689ることを示し,ステント留置後の標準治療となった1).チエノピリジン系抗血小板薬としては,チクロピジンまたはクロピドグレルがあるが副作用が少ないクロピドグレルが通常使用される.DES導入後の日本でのreal worldの成績を検討する目的で実施されたj -Cypherレジストリーのデータを紹介する.Academic Research Consortium(ARC)の定義によるDefiniteステント血栓症の頻度を見ると,30日0.34%,1年0.55%,3年1.03%,5年1.6%であった(図1)2).5年経過してもステント血栓症の頻度増加に減衰傾向がなく,ステント血栓症のリスクが持続しておりその増加頻度は年率0.26%であった.絶対的な増加率は低いもののリスクが持続していることが問題である.Ⅲ 抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の至適期間ステント血栓症の予防のためにDAPTを継続すべき期間についても明確な結論はない.しかし,1年以上の長期のチエノピリジン系抗血小板薬投与がDES留置後の遅発性有害事象や死亡,心筋梗塞,脳卒中といった重篤な心血管イベントの発症を抑制するという明確な報告はないことは知っておくべきである.また,DAPTを長期間継続することによる,脳出血などの重篤な出血性合併症は,患者の不利益ともなるため,DAPTの至適施行期間を明らかにすることはDES留置後の患者にとって重要である.本邦でのデータとしてはCREDO -Kyoto PCI/CABGRegistry Cohort - 2に登録されたDES(主としてSES)留置患者6,309例における4カ月のランドマーク解析がある3).4カ月の時点でのチエノピリジン系抗血小板薬継続例と中止例でその後3年までの死亡,心筋梗塞,脳卒中の発症率に差はなく,出血性合併症の発症はチエノピリジン系抗血小板薬継続例で多い傾向にあることが報告されている.これは,DES留置後の至適なDAPT施行期間は6カ月よりもさらに短い可能性を示唆している(図2).DAPT継続期間の問題だけではなく,中止の理由によって予後に大きく影響を与えることが報告されている.PARIS試験4)は,DAPT中止のパターンを,①医師推奨による中止,②一時的休薬,③出血・コンプライアンス不良による中止,の3つのパターンに分類し解析している.2年後の有害主要イベントの発生は,医師推奨による中止例で継続例に比べリスクが有意に低下していたが,一時的休薬例と服薬Cumulative incidencesN of pts at risk30日0.34%12,6271年0.55%11,9672年0.76%10,8133年1.03%9,2444年1.33%7,6405年1.6%12,812 4,431Follow-up interval(Days)0.10.090.080.070.060.050.040.030.020.0100 365 730 1,095 1,460 1,825Between 30日 and 5年Slope 0.26% / 年Stent Thrombosis of SESARC Definite図1j-CypherレジストリーにおけるDefiniteステント血栓症の累積頻度〔参考文献2)より引用改変〕