カレントテラピー 32-7 サンプル

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12 Current Therapy 2014 Vol.32 No.7628性心疾患のリスクが増加した.わが国の喫煙者数は1970年代には男性が約80%,女性が約15%であったが,2012年の国民健康・栄養調査では,男性が34 . 1%,女性が9.0%であり,年々減少している.しかし,諸外国と比べるといまだ高い状況にあり,今後もさらなる禁煙の啓蒙活動が必要である.喫煙はさまざまな危険因子のなかでも確実に取り除くことが可能なものであり,日本循環器学会では2002 年に禁煙宣言を,2013 年には禁煙推進の3つの基本指針と10の目標を掲げた新禁煙宣言を行い(表),さらなるタバコのない社会を目指して禁煙推進活動に取り組んでいる.Ⅵ おわりにわが国では,依然として欧米と比較すると虚血性心疾患の発症率は低値であり,救急体制の整備や経皮的冠動脈形成術などの医療技術の進歩により,急性心筋梗塞の死亡率も減少傾向にある.しかし,生活スタイルの欧米化に伴い脂質異常症や糖尿病,肥満などの冠危険因子は増加傾向にあり,高齢化社会を併せると今後も虚血性心疾患の発症率は増加すると推測される.高血圧症に対する各種降圧薬やその合剤,脂質異常症に対するスタチン製剤,そして糖尿病に対しては従来からの経口糖尿病薬やインスリン製剤などの治療薬に加え,DPP - 4阻害薬やSGLT2阻害薬が開発され,冠危険因子の管理に対する治療の選択肢は幅広くなっている.一方で,わが国の国民医療費は年々増加し,2011年度で38兆5,850億円となっている.なかでも生活習慣病に関わる「高血圧性疾患」は1兆9,082億円,「糖尿病」は1兆2,152億円と高額である.今後は虚血性心疾患や冠危険因子に対する治療はもちろんのこと,特定健康診査,特定保健指導などを介して,早期に生活習慣病の予防をすることも重要である.参考文献1) Rumana N, Kita Y, Turin TC, et al:Trend of increase in theincidence of acute myocardial infarction in a Japanese population:Takashima AMI Registry, 1990-2001. Am J Epidemiol167:1358-1364, 20082) Nishiyama S, Watanabe T, Arimoto T, et al:Trends in coronaryrisk factors among patients with acute myocardialinfarction over the last decade:the Yamagata AMI registry.J Atheroscler Thromb 17:989-998, 20103) Takii T, Yasuda S, Takahashi J, et al;MIYAGI-AMI StudyInvestigators:Trends in acute myocardial infarction incidenceand mortality over 30 years in Japan:report from theMIYAGI-AMI Registry Study. Circ J 74:93-100, 20104) Hata J, Ninomiya T, Hirakawa Y, et al:Secular trends incardiovascular disease and its risk factors in Japanese:halfcenturydata from the Hisayama Study(1961-2009). Circulation128:1198-1205, 20135) Kannel WB, Hjortland MC, McNamara PM, et al:Menopauseand risk of cardiovascular disease:the Framingham study.Ann Intern Med 85:447-452, 19766) 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011年度合同研究班):性差と虚血性心疾患.虚血性心疾患の一次予防ガイドライン(2012年改訂版).pp7-10, 日本循環器学会, 2012Ⅰ 自らが非喫煙者であり,医療従事者および患者の禁煙を支援する.1.本学会会員は,全員非喫煙者であることを目指す.2.本学会専門医は,全員非喫煙者であることを目指す.3.本学会関連学術集会,市民公開講座等では会場施設は敷地内禁煙とする.4.本学会指定病院(循環器研修施設)はすべて敷地内禁煙にする.5.本学会会員施設のすべてに禁煙外来を設置する.Ⅱ 医療機関,大学,医療従事者に呼びかける.6.本学会会員が勤務する施設の敷地内禁煙達成を支援する.7.医学部,歯学部,薬学部,看護学部の敷地内禁煙を達成するよう呼びかける.8.学部学生に対する禁煙教育,禁煙支援のカリキュラムを組み入れるよう働きかける.Ⅲ 患者や一般市民に呼びかけて喫煙による健康被害についての認識を促し,社会の禁煙化を推進する.9.患者や一般市民に対して喫煙や受動喫煙による健康被害についての情報を発信し,認識を深めてもらうと共に,あらゆる機会を活用して禁煙を呼びかける.10.他の禁煙推進グループとも連携し,禁煙推進活動に積極的に参加する.表日本循環器学会新禁煙宣言2013〔http://www.j -circ.or.jp/kinen/から引用改変〕