カレントテラピー 33-10 サンプル

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34 Current Therapy 2015 Vol.33 No.10978高まっている.本剤6mg/日にて2年以上,内服を継続すると老人斑などのアルツハイマー病理が増えるとの検討もある1).臨床現場では,本剤の少量投与により,振戦をはじめとする症状改善効果を経験することがあるが,本剤の有用性に関する現在のレベルでの大規模臨床試験は存在しない.抗インフルエンザ薬としてのアマンタジン(シンメトレルR)がPD治療に使用されるに至ったのは1969年の報告からである.L -dopaとは逆に,ベッドサイドにて発見された最初の抗PD薬である.その作用は「ドパミン放出促進」によると考えられている.L -dopaの臨床的な使用に先んじて,未治療患者への二重盲検試験も行われた.抗コリン薬より副作用は少ないが,幻覚・妄想,網状皮斑などが知られる.腎排泄のため,腎機能の低下した患者,高齢者では慎重な用量設定が必要である.後述のとおり,本剤は現時点でL -dopaによるジスキネジアへの治療薬として使用されるに至っている.L -dopa以前から使用され,現在もユニークな位置づけをもつ薬剤である.Ⅲ レボドパ黎明期L -dopaは,①脳内神経伝達物質としてのドパミンの同定,②PD患者脳の大脳基底核におけるドパミン濃度の低下を基礎に,③血液脳関門を通過しないドパミンの前駆体として開発された.すなわちラボからベッドサイドへ至った画期的な“miracle drug”である.L -dopaの登場により,PD患者の予後は著明に改善し,生命予後の延長がもたらされ2),3),その治療は全く新たな次元へ入った.L-dopa単剤投与では,末梢の芳香族-L- アミノ酸脱炭酸酵素(aromaticL-amino acid decarboxylase:AADC)によってドパミンへ変換されるため,その中枢への移行率はきわめて低い.AADC阻害薬(dopa decarboxylase inhibitor:DCI)との合剤(L-dopa/DCI)の開発で(図2),L -dopaの用量は約20%へ減量され,中枢利用率は向上し,末梢性の副作用も減少したが,その一方,L-dopa血中濃度は急峻化し,その投与が長期化してくると,主にレボドパの薬効時間の短縮によって症状の日内変動〔wearing off(WO)現象〕や不随意運動(ジスキネジア)などが出現してくる.これらは運動合併症状(motor complication:MC)と総称される.このMCの「予防」と「治療」への対策として,持続的で安定したドパミン刺激(continuous dopaminergicstimulation:CDS)を目指すことが重要と考えられている.進行期患者のMCについては次項をご参照いただきたい.Ⅳ ドパミンアゴニストの出現と台頭ドパミンアゴニスト(dopamine agonist:DA)は,1970年代の麦角系DAであるブロモクリプチンに始ま抗コリン薬アマンタジンドパミン作動薬速放錠MAO-B阻害薬COMT阻害薬ドパミン作動薬徐放錠,貼付剤非ドパミン系薬剤神経保護薬疾患修飾薬ゾニサミドL-dopa/DCI製剤経口速放錠L-dopa/DCI製剤Next Stage, New Formulation図1PDの薬物療法の変遷