カレントテラピー 33-10 サンプル

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カレントテラピー 33-10 サンプル

Current Therapy 2015 Vol.33 No.10 35変貌するパーキンソン病治療979り,以後,麦角系のペルゴリド,カベルゴリン,非麦角系のタリペキソール,プラミペキソール,ロピニロールの発売が続いた.基本骨格にかかわらず,いずれのDAもL -dopaと比較して作用時間が長く(食事の影響もほとんどない),ドパミン受容体をより持続的に刺激することになり,前述のCDSの治療戦略の騎手として,大きく注目されるに至った.これらの臨床試験は,丁度エビデンスレベルを重視する医療全体の大きな潮流を背景に,最新の試験デザインを採用し,DAとL -dopaの特性を比較し,グレードの高いエビデンスに直結した.未治療患者へDAにて治療開始した際に,①DAの単独療法を数年間継続できる患者群が存在する,②この群のほうがL-dopaにて治療開始した群よりMCの出現リスクが低い,③L-dopa治療に伴いWO現象が出現している患者群にDAを追加併用することでoff時間が有意に短縮されることなど,いずれのDAでも同様のエビデンスが示され,大きく注目を集めるに至った.しかし,どのDA単独療法群でも,①運動症状の改善効果はL -dopa群に比較し劣る,②疾患の進行に伴い,L-dopaの追加が必要になる,③L -dopaの併用開始後にはMCが出現する4),5),つまりDA自体はMCを阻止する作用をもたないことも明らかとなった5).前述のL-dopaの問題点の指摘を背景に,DAのメリットが新しい臨床試験によって続々と発表され,その結果からDAの評価が,一時的にやや過剰に強調された傾向があったことは否定できない.さらに症例の蓄積から,DAの副作用はL -dopaに比べて多く,また注意すべき症状もあることが明らかになってきた.便秘,悪心,嘔吐などの消化器症状に加えて,下肢の浮腫,さらに麦角系DAの特異な副作用として,心臓弁膜症や間質性肺炎,各種の線維症など,心臓,肺,胸腹部などに病変を生じることが指摘された.また,非麦角系DAでは,眠気,幻覚に加えて,突発的睡眠がみられ,それが自動車事故につながる点が報告され,それぞれ警告の記載につながった.また,近年,非麦角系DAの衝動制御障害も注目を集め,軽症ではhobbyismから,重症例では病的賭博やhypersexualityなどまで,十分注意を払うべきである.DAでは,その後も投与方法に関しての開発が進められた.その目標は,CDSという治療戦略を目指し,さらに安定したドパミン補充療法の実現を達成する方策としての,continuous drug delivery(CDD)である.現在1日1回経口投与のDA徐放製剤として,プラミペキソール(ミラペックスRLA),ロピニロール(レキップRCR),またDA貼付剤としてロチゴチン(ニュープロR)の選択肢があり,患者の利便性もdrug adherenceも向上することが示されている.また,突然のoffの出現に対するレスキュー薬として,アポモルフィン(アポカインR)の皮下注射が有効で,その効果は10~20分で発現する.自己注射という新規の投与経路により,off 症状に対するレスキュー療法を実現した.中枢神経COMTDOPACCOMTHVAMAO阻害薬× MAOドパミン(DA)3-methoxytyramine(3MT)MAO末梢組織(腸管壁,血管壁など)ドパ脱炭酸酵素阻害薬(DCI)ドパ脱炭酸酵素L-DOPA(Levodopa)3-O-methyI DOPA(3-OMD)L-DOPA血液脳関門(BBB)ドパミン(DA)COMT×図2L-dopaの代謝