カレントテラピー 33-10 サンプル

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36 Current Therapy 2015 Vol.33 No.10980Ⅴ L-dopaの補助薬の登場L -dopaの特徴は,血中濃度の短い半減期にある.WO現象を示す進行期の患者では,L -dopaの薬効時間の短縮が問題となっているため,中枢でのドパミン代謝を阻害するモノアミン酸化酵素(MAO-B)阻害薬のセレギリンとラサギリン(本邦臨床試験中),またL -dopaを末梢で代謝するもうひとつの経路であるカテコール-O -メチル転移酵素(catechol-O -methyltransferase:COMT)の阻害薬としてエンタカポンが登場した.MAO -B阻害薬セレギリンは長い作用時間をもつが,COMT阻害薬エンタカポンの血中濃度の半減期はL -dopaと同様に短いため,L -dopa内服時に同時に内服する必要がある.最近,L -dopa/DCIとエンタカポンの3種の合剤(スタレボR)も本邦にて使用可能となり,患者の利便性の向上に貢献している.未治療PD患者を対象に実施された大規模臨床研究(非盲検)PD -MED試験では,L -dopaで治療開始した群と,L -dopa sparing therapy群(DA, MAO-B阻害薬のいずれかで治療を開始)を比較し,L -dopa治療開始群にてPDの運動症状への治療効果は有意に高いが,ジスキネジアの発症も有意に多いことが示された.同時に未治療患者のfirst lineの薬剤として,MAO-B阻害薬がDAに対して非劣性であることも示された6).両剤とも神経保護作用・疾患の進行修飾作用を期待して臨床試験が行われた.セレギリンではMAO-B阻害にて過酸化酵素産生の抑制,セレギリンの代謝産物のdesmethlselegilineによる神経保護作用,またスタレボR(STRIDE -PD)では,CDD,すなわちL-dopa血中濃度がより安定化し,CDSの概念に近い治療法として,MC,特にジスキネジアの発現の抑制が期待されたが,その効果については未だ一定の結論は得られていない7),8).Ⅵ 非ドパミン性作用機序をもつ薬剤1998年,アマンタジンを用いた二重盲検のクロスオーバー試験が実施され,ジスキネジアへの有効性が示された9).現時点でジスキネジアに対する効果の証明された唯一の薬剤として位置づけられており,そのためには300mg/日程度の高用量が必要とされる.抗ジスキネジア作用の機序は,“NMDAタイプのグルタミン酸受容体の阻害作用”と考えられている.2014年には,AMANDYSK試験が報告されている10).本剤を200mg/日以上,かつ6カ月以上内服している,ジスキネジアのあるPD患者で,本剤の内服を中止したところ,実薬中止群でジスキネジアが有意に増悪し,増悪出現までの期間(中間値)は7日であった.L -dopa以前から使用され,現在も非ドパミン系の作用機序を示すユニークな薬剤である.ドロキシドパ(DOPSR)は,本邦にて開発され臨床応用されたノルアドレナリンの前駆物質で,生体内で天然型のノルアドレナリンへ変換され作用する.PDでは,すくみ足,たちくらみの改善が期待されるが,欧米での使用実績や大規模臨床試験はない.しかし,米国では起立性低血圧の治療薬として近年,再認識されている.ゾニサミド(トレリーフR)やイストラデフィリン(ノウリアストR)は,非ドパミン系作用機序をもつ新たな選択肢である.両剤とも世界に先駆けて本邦にて開発・認可され治療現場で使用可能となっている.ゾニサミドは,日本で開発された抗てんかん薬で,その安全性に関しては長期の使用実績がある.ベッドサイドにて発見された第2の抗PD作用を示す薬剤として11),稀有な位置づけにある薬剤である.臨床的には,当初,WO現象の改善効果が主体であったが,現在もさまざまな臨床試験が実施されている.現在,その作用機序が検討され,MAO-B阻害作用,TH活性亢進によるドパミン合成促進作用,ドパミン放出促進作用などのドパミン系作用機序とともに,δ1受容体を介した間接路の制御作用や,特に振戦に対する作用部位としてT型Caチャネル阻害作用などが報告されている.イストラデフィリンは,抗PD薬として世界で初めての選択的アデノシンA2A受容体拮抗薬であり,ドパミン受容体やドパミン代謝酵素に対する作用をもたない.したがって,これら非ドパミン系作用機序をも