カレントテラピー 33-10 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.10 9953身病としてのPDの臨床病型について触れ,診断の再考を含めた現時点の立ち位置について整理してみたい.Ⅱ 古典的なPDの概念James Parkinsonが1817年にPDを記載して以来,200年が経とうとしている現在であっても,PDの臨床診断と治療において無動,固縮,静止時振戦,姿勢反射障害,歩行障害などの運動症状(パーキンソニズム)の評価が中心であることに変わりはない.これまでPDでは複数の診断基準が提唱されているが,代表的なBrain Bank診断基準をはじめ,いずれも運動症状に重点をおいたものとなっている.しかし,国際的な団体(学会)によって開発もしくは検証された診断基準はいまだ存在していない1).パーキンソニズムの発現に最も係わっているのは黒質緻密層の神経細胞の脱落であり,それに伴う線条体におけるドパミンの低下である.この黒質緻密層の変性・神経細胞脱落とαシヌクレインの沈着が,今なお,PDの最も信頼できる診断指標となっている.黒質緻密層の神経細胞脱落は健常者でも年間約0.5%の割合で低下するものの,パーキンソニズムの出現には40~60%の黒質神経細胞脱落が必要であるため,PD発症に至る症例は,経過中に指数関数的に脱落する段階が存在すると考えられている2),3).病理学的な検討では,パーキンソニズムの出現する5~7年ほど前に神経細胞脱落が始まると考えられている2),4).このように,PDは,パーキンソニズムを呈し,病理学的に進行性の黒質緻密層の神経細胞脱落とαシヌクレインの沈着を特徴とする疾患という概念は,今古典的PD黒質緻密層神経細胞脱落αシヌクレイン沈着パーキンソニズム全身病としてのPD黒質緻密層神経細胞脱落αシヌクレイン沈着パーキンソニズム末梢病理黒質以外の中枢病理非運動症状孤発性,αシヌクレイン陽性孤発性,混合病理遺伝性,混合病理遺伝性,αシヌクレイン陰性遺伝性,αシヌクレイン陽性古典的パーキンソン病全身病としてのパーキンソン病αシヌクレインを欠くパーキンソン病図1さまざまなパーキンソン病の概念PD:パーキンソン病遺伝性・非遺伝性背景病理予後進行速度時間軸非運動症状運動症状内科的外科的治療の影響図2 パーキンソン病の概念や臨床病型に影響するさまざまな因子