カレントテラピー 33-11 サンプル

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70 Current Therapy 2015 Vol.33 No.111120発は,James P. Allison博士らが抗CTLA- 4抗体を用いてT細胞抑制をコントロールする治療を開発したことが始まりと考えられている.PD -L2を同定したPardoll博士,PD -L1を同定したChen博士らおよび当時のMedarex社(現Bristol-Myers Squibb社)のグループが本庶博士および小野薬品のグループと共同でPD- 1/PD-L1の関係(interaction)に注目し,これらを阻害する抗体の治療を開発した10).特筆すべきはここに置いて,先に述べた本庶博士らのPD - 1の発見およびその治療に関する研究なくしてはこの治療法の開発は現在に至ってもなかったことである11).これまで行われてきた免疫療法の多くが免疫賦活あるいは抗原提示に注目していたが,これらの傾向とは大きく異なり免疫の抑制系の解除に注目したことで大きなブレークスルーをもたらした.もちろんこれらの舵取りは多くの失敗や反省から生まれたものであることは間違いない.さらに,本研究は2000年前後から2005年までに多くの基盤的研究が行われ,これを元に臨床へ向けた開発が2005~2006年に開始された.PD - 1は主に以下の抗体〔ニボルマブ,penbrolizumab(旧lambrolizumab), pidilizumab,MEDI0680〕により臨床研究が進んでいる.対象疾患の多くはメラノーマ,肺がん,腎がんなどであるが,現在多種のがん腫に拡げ開発が進んでいる.現在米国あるいは日本で開発が進んでいる主な免疫チェックポイント阻害剤を表に示す.Ⅶ 抗PD-1/PD-L1抗体による免疫療法の効果予測抗PD - 1抗体治療における治療効果を予測するマーカーとしては,先に述べたことを含めPD -L1の発現が挙げられる12),13).このPD-L1の発現には活性化した腫瘍浸潤T細胞(TIL)の存在が重要で,この細胞の存在あるいはここより産生されるIFN -γがPD -L1の発現を惹起するため,このTIL自体も治療効果の予測に用いられる可能性がある(図3)14).ただし,がん腫によってこのバイオマーカーが機能する場合としない場合があり,いまだに本療法におけるユニバーサルで決定的なコンパニオンマーカーは存在していない.腫瘍微小環境において,TILの存在が本免疫療法における主役のひとつであることは理論上も強く示唆される.さらにPD - 1/PD -L1の信号をブロックすることが本治療の目的であることから,PD -L1やPD - 1の発現が治療効果と関係が認められることは整合性がある.この一方で,免疫担当細胞の抗腫瘍効果の発揮にはたくさんの腫瘍微小環境内におけるバランスが働いており,リンパ節においても抗原提示細胞からの他の機構を通じた抑制も考えられるため,認識しているがん抗原の研究を含め,今後の免疫学的解析によりさらに鋭敏な治療効果予抗PD-1抗体療法薬剤名関連製薬企業抗体のIsotype PhaseMEDI0680Medlmmune/AstraZenecaHumanized lgG4κ Phase ⅠNivolumabBristol-Myers Squibb,Ono PharmaceuticalsFully Human lgG4Approved(日本,米国)PembrolizumabMSD(日本名)(Merck Sharp and Dohme)Humanized lgG4Approved(米国)Pidilizumab Cure Tech Humanized lgG1 Phase Ⅰ-Ⅱ抗PD-L1抗体療法Atezolizumab GenenTech/Roche Fc-modified human lgG1 Phase Ⅰ-ⅢAvelumab Merck Serono(日本名) Fully Human lgG1 Phase Ⅰ-ⅡBMS-936559 Bristol-Myers Squibb Fully Human lgG4 Phase ⅠMEDI4736Medlmmune/AstraZenecaFc-modified human lgG1 Phase Ⅰ-Ⅲ表PhaseⅠ以降の抗PD-1/抗PD-L1抗体の一覧〔TopalianらClin Res 2013より引用改変〕