カレントテラピー 33-12 サンプル

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カレントテラピー 33-12 サンプル

Current Therapy 2015 Vol.33 No.12 331175例して死亡率が増加し,駆出率(ejection fraction:EF)45%以下では至適血中濃度は0.5~0.8 ng/mLが推奨されている3).一方,心房細動に伴う収縮不全に対してのジギタリスは心拍数をコントロールするために使用されるが,予後を改善したというエビデンスはない.2 利尿薬心不全のうっ血に基づく症状を軽減するのに利尿薬は有効な薬剤である.しかし,その予後に対する効果に関しては大規模臨床試験によるエビデンスは得られていない.したがって電解質異常に注意しながら使用することが大切である.ループ利尿薬の使用は予後悪化因子であるとの臨床試験もある4).3 アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬慢性心不全患者および心筋梗塞後患者に対する生命予後や心血管イベントに対する効果はクラスエフェクトとして大規模臨床試験5),6)で確立されている.無症候性の心不全においても生命予後を改善することが明らかになっており,禁忌のないすべての左室収縮不全の心不全例で用いられるべきであり,また認容性があればより高用量で用いられるべきである.4 アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)ACE阻害薬(カプトプリル)とARB(ロサルタン)とを比較したELITEⅡ7)試験の結果では,死亡率改善には有意差は見られなかった.また,心不全を伴う急性心筋梗塞患者でも心血管イベントの抑制においてARBのACE阻害薬に対する非劣性が示された.また,ACE阻害薬にARBを上乗せする試験では,心血管疾患死亡や入院を減少させるエビデンスもある.したがって,ARBはACE阻害薬に認容性がない場合には用いられるべきである.5 β遮断薬カルベジロール,ビソプロロール,コハク酸メトプロロールに予後改善や心不全悪化防止効果が証明されている8),9).カルベジロールはコハク酸メトプロロールより死亡率が低いというデータもある.本薬の導入にはNYHAⅢ度以上の例には,原則入院して少量から導入することが推奨されている.すなわち,カルベ表1 主な経口心不全治療薬の用量分類薬剤名本邦で承認された適応症・用量アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬エナラプリル5~10mg/日, 2.5mg/日より開始リシノプリル5~10mg/日, 腎障害・高齢者では2.5mg/日より開始カプトプリル高血圧症;37.5~75mg/日(最大150mg/日)アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)カンデサルタン8mg/日, 4mg/日(重症・腎障害2mg/日)より開始ロサルタン* 高血圧症;25~100mg/日バルサルタン* 高血圧症;40~80mg/日テルミサルタン* 高血圧症;40~80mg/日, 20mgから開始オルメサルタン* 高血圧症;10~20mg/日イルベサルタン* 高血圧症;50~200mg/日アジルサルタン* 高血圧症;20~40mg/日β遮断薬カルベジロール2.5~10mg/日, 1.25mgより開始ビソプロロール1.25~5mg/日, 0.625mg/日より開始抗不整脈薬アミオダロン* 200mg/日, 導入期400mg/日血管拡張薬硝酸イソソルビド* 狭心症;40mg/日利尿薬フロセミド40~80mg/日アゾセミド60mg/日トラセミド4~8mg/日スピロノラクトン25~50mg/日エプレレノン* 高血圧症;50~100mg/日トルバプタン15mg/日ジギタリスジゴキシン0.125~0.25mg/日*わが国で慢性心不全に対する保険適用が認められていないもの.〔参考文献1)より引用改変〕