カレントテラピー 33-12 サンプル

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34 Current Therapy 2015 Vol.33 No.121176ジロールでは2.5(重症例では1.25)mg/日から開始し3.75(または5)→7.5→10→15→20 mg/日と増量する.できるだけ増量すべきであると考えられているが,至適用量のエビデンスはない.6 抗アルドステロン薬スピロノラクトン10)およびエプレレノン11)は,左室収縮機能不全例の死亡率を抑制した.ACE阻害薬またはARBと抗アルドステロン薬の併用は,カリウムの上昇に伴う死亡を増加させることがあり,ベースラインの血清クレアチニン値が1.6 mg/dL 以上,または血性カリウム値5.0 mEq/L 以上の症例では使用を控えるべきである.初期用量はスピロノラクトンで12.5mg/日,エプレレノンで2.5mg/日である.7 アミオダロン種々の試験のメタアナリシスではアミオダロンは全死亡や不整脈死を抑制したが,植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator:ICD)と比較した試験ではプラセボに対して有効性がなかったとする報告12)もある.8 血管拡張薬硝酸薬やCa拮抗薬は心不全患者の予後改善のエビデンスがなく推奨されていない.9 経口強心薬大規模臨床試験では否定的な結果であり推奨されないが,重症例における生活の質(QOL)の改善目的,静注強心薬からの離脱時,β遮断薬導入時などに有用性の検討の余地があるとされている.10 ナトリウム利尿ペプチド静注薬のみ使用可能である.小数例の検討でカルペリチドは急性増悪例の死亡・再入院を抑制したが,別の多数例の検討では有用性は認められなかった.11 中性エンドペプチダーゼ阻害薬中性エンドペプチダーゼ(neutral endopeptidase:NEP)はナトリウム利尿ペプチド分解酵素であり,NEPを阻害するとナトリウム利尿ペプチドの生理作用を増強する.ARBとNEP阻害作用をもつLCZ696は,心不全患者に対してACE阻害薬と比較した試験が実施され,死亡と心不全の入院を減少させた13).2015年7月に米国食品医薬品局(FDA)に承認され,今後欧州や日本でも随時承認される見込みであり,ACE阻害薬やARBと同様,もしくはそれ以上の効果を期待されている薬剤である.Ⅲ 心不全ステージ別にみた心不全治療(図1)1 ステージA(危険因子を有するが心機能障害がない)耐糖能異常,脂質異常症,喫煙などの危険因子がある場合には,それぞれのガイドラインにしたがって無症候性Stage A Stage BACE阻害薬ARBβ遮断薬抗アルドステロン薬利尿薬ジギタリス経口強心薬静注強心薬h-ANPStage C Stage DNYHA分類AHA/ACCStage分類軽症Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ中等症~重症難治性図1心不全のステージ分類と薬物治療指針〔参考文献1)より引用改変〕