カレントテラピー 33-12 サンプル

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カレントテラピー 33-12 サンプル

Current Therapy 2015 Vol.33 No.12 75代替療法1217Ⅳ 血管薬理作用木防已湯と生薬防已(濃度3mg/mL)による血管弛緩作用は,ノルエピネフリン(NE)(0.5μM)拘縮させたラット大動脈血管(切片3mm)を98.9±2.8%(n=6)と97.2±5.7%(n=6),それぞれ著明に弛緩させた.シノメニンはNE 拘縮を用量依存性に弛緩させた4),8).100μMで,68.8±5.1%(n=6 , p<0.01)弛緩させ,血管内皮除去すると,著明に減弱した.また,L -NAME〔NO合成酵素(NOS)阻害剤,100μM〕存在下では25.3±2.3%(n=5, p<0.01)に低下させた.インドメタシン〔シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤,10μM〕も同様に,シノメニンの血管弛緩作用を37.1±9.3%(n=5 , p<0.01)に減弱させた.したがって,シノメニンは血管内皮におけるNOやPGI2産生から,血管内皮依存性の弛緩作用を起こすことが判明した.さらに,KCl(60mM),およびPDB(PK-C刺激薬,0.3μM)による収縮も著明に弛緩させた.また,ニカルジピン(Ca拮抗薬),およびスタウロスポリン(PK -C阻害薬)存在下でも,シノメニン(100μM)の弛緩作用はそれぞれ35.5±6.9%(n=6, p<0.01)と49.5±7.5%(n=6, p<0.01)に減少した.さらに,プロプラノロール(β遮断薬)前投与でも低下したので,β刺激作用による弱い血管弛緩作用の存在も判明した.以上の結果より,主要な血管弛緩作用機序は血管内皮NO産生,血管平滑筋Ca2+チャネル阻害作用とPK -C阻害作用であり,心臓電気生理学的実験結果とほぼ一致している(表1).一方,無処置(拘縮させていない)の大動脈血管標本に対して,低濃度(0.03~0.3 mg/mL)での木防已湯と防已は血管収縮を起こしたが,逆に高濃度(1.0 mg/mL)では弛緩に転じた.この収縮作用はα遮断薬フェントラミン(10μM)によって抑制されるため,α受容体刺激作用であることが判明した.しかし,シノメニン単独では血管収縮作用は全くみられなかった.A B[Ca]。5.4mMat 1 HzVmax+シノメニン300μM1mMWashoutAPD200V/s 20mV100msec200msec20mVシノメニンコントロール300μM図2 シノメニンの心室筋活動電位への作用と抗不整脈作用A:単一モルモット心室筋のカレントクランプ法による活動電位.1Hzで刺激.APD:活動電位持続時間.B:活動電位トレース上のドットは1Hz刺激パルスを示す.α作用β作用NO合成促進作用PK-C阻害作用Ca2+チャネル阻害作用PGI2合成促進作用木防已湯+ + + + + +防已+ ± + + + +シノメニン- + + + + +表1木防已湯,防已,およびシノメニンの血管薬理作用