カレントテラピー 33-12 サンプル

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10 Current Therapy 2015 Vol.33 No.121152Ⅳ 心不全に関する疫学研究心不全の発症や進行には,基礎心疾患,合併疾患などに加え,生活環境要因,社会的要因が複雑に影響している.疫学研究の結果は,効果的な治療管理指針を構築する際の基礎的資料として重要であるが,米国や欧州で行われた疫学研究の結果が,すべての国・地域においても当てはまるわけではない.近年,米国や欧州以外の国々からの心不全の疫学研究も報告されるようになっている.1 欧米における研究2000 年代に入り報告された欧米での大規模登録観察研究として,OPTIMIZE-HF(the OrganizedProgram to Initiate Lifesaving Treatment in Hospitalizedpatients with Heart Failure),ADHERE(the Acute Decompensated Heart Failure NationalRegistry)database, EHFSⅡ(the EuroHeart FailureSurveyⅡ)がある7)~9).3つの登録観察研究では,心不全入院患者の臨床的特徴や予後が明らかにされており,高齢者,高血圧・糖尿病の有病率,左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)が多数を占めることが指摘されている.さらに,OPTIMIZE -HFやADHEREでは,臨床試験で有効性が検証された治療薬のreal-worldでの効果,性差やCOPDなどの影響についても明らかにされている10)~13).2 日本における心不全の疫学研究日本では,大規模な多施設登録観察研究として,JCARE-CARD研究,ATTEND registry,東北地方を中心としたCHART研究が報告されている.平均年齢はJCARE-CARDが71歳,CHART- 1が69歳,CHART- 2のStage C/D症例が69歳と,患者の多くは高齢である.基礎心疾患は,いずれの研究においても虚血性心疾患が最も多くを占め,次いで弁膜症,高血圧性心疾患が続いた.合併症の有病率は,研究により数値にばらつきがあるものの,高血圧,糖尿病,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD),心房細動が高率に認められた.多くの患者は,複数の合併症を有しており,心不全患者の治療,管理においては,基礎心疾患の治療とともに,合併症の管55 - 59 60 - 64 65 - 69 70 - 74 75 - 79 80 - 84 85 - 89 90909080706050403020100発症率年齢区分(歳)55 - 59 60 - 64 65 - 69 70 - 74 75 - 79 80 - 84 85 - 89 9080706050403020100発症率年齢区分(歳)(1,000人・年あたり)(1,000人・年あたり)男性女性図2Rotterdam研究における年齢階級別の心不全発症率点線:95%信頼区間〔参考文献3)より引用改変〕