カレントテラピー 33-2 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.2 47今後の在宅医療の方向性139②非がん疾患,特にCOPDによる呼吸困難に対する信頼性の高い臨床試験が開始されており,海外でのエビデンスとあわせて日本独自のエビデンスも生まれ,疾患別ガイドライン掲載を経て,広く世の中で使用されるようになり,公知申請を経て,保険適応が獲得され,住み慣れた自宅で最期を迎えたいと願う患者家族の苦痛症状を和らげ,患者の思いを支えるだろう.③病状が悪化するなかでの在宅復帰,在宅看取りなど,難しい医療選択において,患者・家族に寄り添い意思決定支援をする人材である「相談員」が,その質を担保しながら徐々に増えていき,マクロ的には制度が整いつつあるようにみえる在宅緩和ケアを,質の面から支えるだろう.④高度な一体感とチーム連携を特徴とした在宅緩和ケアの拠点が生まれ,苦痛症状緩和や意思決定支援の難しい,急速に病状が変化する疾患群においても,患者家族の思いを叶える在宅緩和ケアが推進されるだろう.以上,①~④の課題と展望について,私見を交え述べさせていただいた.高齢化,多死時代の日本において,これらに関連したエビデンスが構築されるとともに,現場で働く医療者の強い意志と連携が,先に挙げた展望を現実のものにすると信じ,願っている.参考論文1)Morita T, Miyashita M, Yamagishi A, et al:Effects of a programmeof interventions on regional comprehensive palliative◆社会保障制度改革国民会議報告書では,医療の在り方については,医療提供者の側だけでなく,医療を受ける国民の側がどう考え,何を求めるかが大きな要素となっており,死すべき運命にある人間の尊厳ある死を視野に入れた『QOD(クォリティ・オブ・デス)を高める医療』も射程に入れる必要があることが提案されている.◆一般国民への意識調査の結果によると,人生の最終段階における医療のあり方については,「患者・入所者,家族への相談体制の充実」が求められている.(「終末期医療のあり方に関する懇談会の報告書」(平成22年12月))◆このことから,患者が人生の最終段階における医療についての情報や相談を希望する場合,患者のニーズに応じて,人生の最終段階における医療に関する情報提供や意思決定支援,また関係者との調整を行える相談員を養成,配置する必要がある.◆がん患者については,がん連携拠点病院の相談支援センターにがん専門相談員が配置されており,がんの治療や緩和ケア等の相談に対応しているが,非がん患者を含めたすべての患者に対応できる人生の最終段階における医療相談体制を,特に緩和ケアチーム等が配置されていない医療機関に対して構築する必要がある.◆人生の最終段階における医療相談員の要件については,適切な情報の提供と説明が実施され,それに基づいて患者が医療従事者と話し合いを行い,患者本人の決定を支援するプロセスであることから,看護師,メディカルソーシャルワーカー等で一定の研修を受講した者であることが望ましい.□人生の最終段階における医療にかかる相談員の役割□人生の最終段階における医療にかかる相談員の要件□人生の最終段階における医療にかかる相談員の研修・患者の医療・ケアチームとともに人生の最終段階における医療についての情報提供及び意思決定支援.(事前指示書の作成が目的ではない.)・医療内容の決定が困難な場合の倫理委員会の活用と調整.・緩和ケアを希望する場合の専門医療機関等への紹介.・「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」(平成19年5月厚生労働省)の医療機関内への普及活動.等.【研修内容】・「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」に準拠.・人生の最終段階の病態と対応方法に対する基本的知識及びカウンセリングやコミュニケーション技法の基本を中心とした患者の意思決定を支援するプロセスを学ぶ.【研修内容の例】①目的②人生の最終段階における医療にかかる相談員の位置づけ③倫理委員会の立ち上げ・役割④厚労省終末期の決定プロセスのガイドライン詳説⑤意思決定支援概論(法律的,倫理的根拠,海外の動向等)⑥意思決定支援実践論(各職場,状況における実践例)⑦グループワーク⑧研修振り返り⑨職場に戻っての活動の実際・看護師,メディカルソーシャルワーカー等であって,一定の研修を受講した者.厚生労働科学研究特別研究で研究プログラム(案)を作成予定人生の最終段階における医療にかかる相談員の育成等について図3 人生の最終段階における医療にかかる相談員の育成〔参考文献6)より引用〕