カレントテラピー 33-2 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.2 799治し支える医療としての在宅医療の現状と展望企画独立行政法人国立長寿医療研究センター総長鳥羽研二深い雪国で医師本来の務めの延長に在宅医療を続け,病院全盛期にそのサービスの刹那的な課題を大都会で切り開き,待ちの姿勢に傾きがちな医師会を変革して地域包括ケアの原点となった先人たちの努力は特筆すべきもので,永く記憶にとどめるべきである.長い間,先人の成功例は,個人の超人的な資質や,組織の特別な意欲,地域の格別に涵養された人間関係の良好さなどに帰結され,各地で類似の取り組みを行うのにはハードルが高かった.しかし,次世代の在宅療養支援診療所の英傑たちは各地に良好な在宅診療拠点を形成し,その広がりは,全国展開を考えるうえで十分な下地を築いてきた.超高齢化の医療構造の変化に伴い時機が到来した.在宅医療の,成功例の類型部分から必須要素が抽出され,在宅医療拠点連携事業が開始され,行政と医師会を中核とする骨子が固まった.東京大学や国立長寿医療研究センターが参画した教育プログラムが,行政や医師,多職種に対して行われ,モデル事業も成熟した.在宅医療は必然的に町づくりにも相関する.これを受け,今では地域支援事業として地域包括ケアへと成長を遂げた.在宅医療の量的拡大は,必然的に質の課題を孕み,今後の在宅医療は,認知症問題も含めて大きな踊り場に位置している.国立長寿医療研究センターでは,在宅医療の質とEBM問題に数年前から研究班を形成して取り組んできた.今回,これらの歴史的背景と医療の質にも詳しい執筆者によって,きたる2025年以降の超高齢社会,多死の時代に,わが国が備えるべき理念,システム,状況に応じた変革の知恵を寄稿してもらった.座談会では,これらの内容を有識者に縦横に語り合ってもらう企画となっている.一読していただくことで,今後の指針の一助となれば幸いである.エディトリアル