カレントテラピー 33-2 サンプル

カレントテラピー 33-2 サンプル page 8/34

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 33-2 サンプル の電子ブックに掲載されている8ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 33-2 サンプル

Current Therapy 2015 Vol.33 No.2 11今後の在宅医療の方向性103を踏まえ,都道府県と市町村とで協議を行い,都道府県は,市町村間の調整及び分析を行ったうえで,適切な圏域を設定し,医療計画のなかに在宅医療の提供体制の整備目標を定めることが必要である.在宅医療の提供体制の充実に係るこうした都道府県と市町村の連携と役割分担について,医療計画を推進していくなかで改めて明確にする必要がある.また,在宅医療の提供体制の充実のためには,在宅医療に取り組む人材の確保及び育成を推進する観点から,医師,歯科医師,薬剤師,看護師等に対しての在宅医療への参入の動機づけとなるような研修や在宅医療に関わる医療従事者の資質向上のための研修等を実施する必要がある.また,副主治医の確保など在宅医療に取り組む関係者の負担軽減の取組や,後方病床の確保や救急医療との連携などのバックアップ体制を構築することも重要である.都道府県は,各関係団体や市町村等がこうした取組を実施していくことができるよう支援する必要がある.平成23・24年度に実施した在宅医療連携拠点事業では,在宅医療の充実と在宅医療を含めた地域包括ケアシステムの構築に寄与したなどの効果が得られているが,これらの成果等も踏まえ,医療に係る専門的な知識及び経験を活用した地域における在宅医療・介護の連携拠点としての機能の構築といった医療と介護の連携の推進について,市町村が主体となった取組を進めるためには,これまで医療提供体制等への関与が少なかった市町村への支援として,これまでの在宅医療連携拠点事業で蓄積されたノウハウや地域の先駆的事例を情報提供すること等が必要である.なお,都道府県は広域的に対応する必要がある調整等について保健所を通じて市町村の支援を行うことも重要である.また,市町村や地域の医師会,歯科医師会,薬剤師会及び看護協会等において,医療と介護の連携体制の構築を進めるにあたり,各市町村で中心的役割を担うリーダーや医療と介護に精通した連携のコーディネーターとなる人材育成等が必要であり,その支援を行っていくことが求められる.さらに,高齢者だけではなく,新生児集中治療室(NICU)で長期の療養を要した小児などについても,在宅において必要な医療・福祉サービス等を受けることができ,地域で安心して療養できるよう,福祉や教育などとも連携し,地域で在宅療養を支える体制を構築することが必要である.平成24,25年度に,モデル事業として小児等在宅医療連携拠点事業(図3:小児等在宅医療連携拠点事業)を実施しているが,今後,できるだけ多くの地域で,医療・福祉・教育が十分に連携できるような体制を構築していくことが重要である.また,在宅医療については多様なニーズがあることから,今後構築される在宅医療・介護連携拠点の機能等を活用しつつ,多様なニーズに幅広く対応できるような方向性を目指すべきである.地域医療構想(ビジョン)のなかで将来の在宅医療の必要量を示すとともに,在宅医療を担う医療機関や訪問看護等の提供体制に係る目標や役割分担,病状の変化に応じた病床の確保のあり方等を医療計画に盛り込むこととする.Ⅳ 医療計画における在宅医療平成25年度から,すべての都道府県の医療計画に在宅医療について記載されることとなった.これを受け,平成24年3月に厚生労働省は策定指針を示したが,その基本的考え方は,多くの国民が自宅等住み慣れた環境での療養を望んでいることから,高齢になっても病気になっても自分らしい生活を支える在宅医療の提供体制を構築することは,国民の生活の質の向上に資するものであるとした.さらに,超高齢社会を迎え,医療機関や介護保険施設等の受入れにも限界が生じることが予測されるなかで,在宅医療は慢性期及び回復期患者の受け皿として,さらに看取りを含む医療提供体制の基盤の一つとして期待されているとした.同指針では「第1 在宅医療の現状」において,わが国の疾病構造及び在宅医療のニーズの変化や在宅医療に係る資源の現状を概観し,次に「第2 関係機関とその連携」において,どのような医療体制を構築すべきかを示している.