カレントテラピー 33-3 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.3 33心房細動の治療251脳卒中の既往を有する率や脳卒中の発症率が高いことを示している2),3).またtime in therapeutic range(TTR)は低く,PT-INRは低めで管理されているにもかかわらず,ワルファリン療法中の頭蓋内出血発症率はきわめて高い.しかし,NOAC療法中の頭蓋内出血発現率はグローバルでの結果と同様に大幅に抑えられる.したがってNOAC投与で最も益を受けるのは,ワルファリン療法中の頭蓋内出血が多い日本人を含むアジア人,または東アジア人ということになろう.Ⅲ 日本循環器学会ガイドライン1 脳梗塞のリスク評価にはCHADS2スコアかCHA2DS2-VAScスコアか?CHADS2スコアとCHA2DS2 -VAScスコアはどちらかが一方的に優れているとはいえず,両者ともにメリットとデメリットがある(表1)4),5).CHADS2スコアのメリットは高リスク症例の抽出を簡便に行えることに加え,一般内科医に広く使われていること,NOAC第Ⅲ相試験の登録基準の多くに用いられていることから,得られたエビデンスを日常臨床に反映しやすい点である.一方,低~中等度リスクに該当する0~1点から相当数の脳梗塞患者が発生することが知られており,そのリスク評価が不十分であることや,65~74歳をリスクとして抽出できない点がデメリットといえよう1),6).CHA2DS2 -VAScスコアのメリットとして,本スコアが0点の症例は真の低リスクであることが知られ,ワルファリンであれば投与不要の判断が可能な点を挙げることができる.デメリットはやや煩雑であること,NOAC第Ⅲ相試験の登録基準でなかったこと,「女性」という項目が単独ではリスクにならないとの指摘が多い点である7)~10).日本循環器学会の『心房細動治療(薬物)ガイド01.0発現率0.80.60.4Event rate( %) per subject-years0.2INR 2-3 INR 2-3RE-LYMeanCHADS2 score:2.1Median TTR:67%ROCKET AFMean CHADS2 score:3.5Median TTR:58%ARISTOTLEMean CHADS2 score:2.1Median TTR:66%INR 2-3ENGAGE-AFMeanCHADS2 score:2.8Median TTR:68%30mg×1RR 0.30 p<0.001(95% CI:0.19-0.45)RR 0.41 p<0.001(95% CI:0.28-0.60)RR 0.67 p=0.02(95% CI:0.47-0.93)RR 0.42 p<0.001(95% CI:0.30-0.58)RR 0.30 p<0.001(95% CI:0.21-0.43)RR 0.47 p<0.001(95% CI:0.34-0.63)0.260.850.390.320.760.230.70.50.800.33ダビガトランワルファリンワルファリンアピキサバンワルファリンエドキサバンワルファリン150mg×2 110mg×2リバーロキサバン20mg×1 5mg×2 60mg×1 INR 2-3図3 頭蓋内出血発症率の比較NOAC第Ⅲ相試験結果.NOACの頭蓋内出血発症率はワルファリンより大幅に少ない.〔参考文献1)より引用改変〕