カレントテラピー 33-3 サンプル

カレントテラピー 33-3 サンプル page 16/36

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 33-3 サンプル の電子ブックに掲載されている16ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 33-3 サンプル

36 Current Therapy 2015 Vol.33 No.3254Ⅳ 各NOACの特徴各NOACの特徴を表2に示す.1 ダビガトランダビガトラン2用量はそれぞれ独立したエビデンスを有している.通常用量(150mgBID)では虚血性脳卒中抑制効果がワルファリンよりも有意に高い.一方,低用量(110mgBID)は大出血発現率がワルファリンより優位に低く,CCr 50mL/分以上でその傾向が際立つ.CHADS2スコア1点で有効のエビデンスがあること,肝障害への安全マージンが大きいこと,約4年の臨床経験があること,血中濃度は活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partialthromboplastin time:APTT)と相関することが利点であるが,高度腎機能障害に投与できないことと,ディスペプシアに注意する.2 リバーロキサバンリバーロキサバンの利点は,1日1回投与で利便性が高いこと,小さな錠剤で飲みやすいこと,日本人の用量設定とエビデンスがあること,約3年の臨床経験があることである.血中濃度はプロトロンビン時間(prothrombin time:PT)と相関するが試薬間格差がある.ただし,CHADS2スコア1点でのエビデンスが乏しいこと,重篤な肝硬変,腎障害,PTは試薬で値が異なることを注意する.3 アピキサバンアピキサバンの利点は大出血が少ないこと,アドヒアランスが高いこと,比較的小さな錠剤であること,CHADS2スコア1点で有効なエビデンスがあることである.特に,大出血は高齢者や中等度腎障害患者でもワルファリン群より少ないことは特筆に値する.一方,高度腎障害,血中濃度とAPTTやPTが十分な相関を示さないことに注意する.4 エドキサバンエドキサバンの利点は1日1回の投与で利便性が優れること,3用量が開発されていること(心房細動への適応は60mgQDと30mgQD),大出血や頭蓋内出血が少ないこと,深部静脈血栓症の治療や予防の適応を有すること,中等度腎障害例でデータを有することが特徴である.血中濃度はPT -INRと相関するが試薬間で値が異なる.高度腎障害には投与できないことに注意する.Ⅴ ワルファリンのよい適応と抗血小板薬の位置づけワルファリン療法のよい適応は,NVAF以外の心疾患で抗凝固療法必要時,NOAC投与禁忌該当例,生理的凝固阻止因子欠損例である.ワルファリンを選択する場合としては大出血関連因子が複数該当し,用量調節が強く必要とされる場合,NOAC療法中の脳梗塞,心内血栓合併例,PT -INRがきわめて安定し出血性合併症を経験していない症例,安い薬価を強く希望する場合などが挙げられる.経管栄養が必要な症例もワルファリン療法のよい適応である.ただし,リバーロキサバンやアピキサバンでもインタビューフォームを参照して,経管栄養が実践され始めている.抗血小板薬は心内血栓の形成抑制効果を有さないので,NVAFに伴う心原性脳塞栓症予防には用いられない11).ただし,抗凝固療法が行えない場合に本薬を投与することがあるが,それはNVAFに伴うアテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞の予防を期待しての投与にとどまることを理解し,患者本人や家族の了解の下に投与の可否を検討する.Ⅵ 状況に応じた使い分け各NOACは優れた資質を有し,第Ⅲ相試験で優れた結果を示しているので,さまざまな状況下で投与できるが,ここではあえて各NOACの特徴を踏まえて異なる状況下での最適な投与法を考慮する.1 虚血性脳血管障害を繰り返す症例虚血性脳血管障害の検討で,ワルファリンに対する優越性が唯一示されているダビガトラン150mgBIDがよい適応である.安全性と効果に関して本邦で独自のエビデンスを構築し,治療中の心内血栓縮小・消失例の報告が最も多いリバーロキサバンも考慮し