カレントテラピー 33-3 サンプル

カレントテラピー 33-3 サンプル page 25/36

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 33-3 サンプル の電子ブックに掲載されている25ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 33-3 サンプル

Current Therapy 2015 Vol.33 No.3 75293Ⅰ はじめにこれまで半世紀以上,経口抗凝固薬はワルファリンのみであり,脳梗塞予防効果は高いが,比較的狭い治療域と用量の個人差,食事や他の薬剤の影響,診察ごとの採血による効果チェックなどの問題があり,必要とされる患者に必ずしも十分使用されていない.一方,最近ワルファリンに代わる新しい経口抗凝固薬が開発され,2011年3月には経口直接トロンビン阻害薬ダビガトランが,2012年4月には経口Xa因子阻害薬リバーロキサバンが,2013年2月にはアピキサバンが発売された.またエドキサバンも2014年12月に発売されたところである.エドキサバンは本邦で開発された活性化血液凝固第X因子(FXa)を選択的,可逆的かつ直接的に阻害する経口抗凝固薬である.日本では,まず整形外科領域での開発が進められた.人工膝関節全置換術での第Ⅱ相用量設定試験でプラセボに比較して有意に静脈血栓塞栓症発症を抑制することが明らかになり,その後既存薬であるエノキサパリンを対照薬とした第Ⅲ相試験(人工股・膝関節全置換術)で,非劣性および優越性が検証された.この結果を基に,2011年4月に下肢整形外科手術(膝関節全置換術・股関節全置換術,股関節骨折手術)施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制に対して承認された.本稿ではエドキサバンに関して,心房細動における治験の概要について解説する.エドキサバン是恒之宏** 国立病院機構大阪医療センター臨床研究センター長心房細動の診断と治療の最近の動向― 進むべきか,退くべきかエドキサバンは本邦で開発された活性化血液凝固第X因子を選択的,可逆的かつ直接的に阻害する経口抗凝固薬である.非弁膜症性心房細動(non-valvular atrial fibrillation:NVAF),整形外科後の術後深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT),肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)予防,および治療の適応をもつ.NVAFに関しては,国際共同試験で30mgと60mg 1日1回を標準用量とし,ワルファリンと比較する3群間の比較試験で進められた.高用量群では,脳卒中・全身性塞栓症を減少する傾向にあるが非劣性であった.虚血性脳卒中はワルファリンと同等,出血性脳卒中は46%有意に低率であった.低用量群では虚血性脳卒中はワルファリンより有意に高値であるが,出血性脳卒中は67%低率であった.大出血,心血管死はいずれの群もワルファリンより有意に低かった.消化管出血については,高用量群でワルファリンより23%高かった.しかしながら,東アジアサブ解析において東アジア群では消化管出血の増加は認められなかった.また,クレアチニンクリアランスが15~30mL/分の腎機能低下症例における安全性と妥当性が日本において検討されており,他の薬剤にはないEBMとして注目される.a b s t r a c t