カレントテラピー 33-3 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.4 7225心房細動の診断と治療の最近の動向― 進むべきか,退くべきか―企画公益財団法人心臓血管研究所所長山下武志最近の講演会,研究会と言えば,心房細動に関するもの,糖尿病に関するものが花盛りだそうである.おそらく,この分野で新規薬剤が続々と発売されているためであろう.ただそれだけのものであるならば,そう長続きすることはあるまいとタカをくくっていたら,なかなかその勢いは収まる気配がない.なぜだろうか.超高齢化社会を迎えつつある今,疾病自身が変わらずとも,その疾病を取り巻く環境や疾病をもつ患者の状況が変化し,その診療が変化せざるを得ないことを,多くの臨床医が肌で感じ,そして迷っていることが増加しているためではないだろうか.日本全体では65歳以上の人口がすでに25%を超え,その対応に社会・経済が右往左往している.それだけにとどまらず,地方ではすでにその先を行く35%を超えているのが実情である.超高齢者のcommon diseaseは,疾病に関する知識のみで語れないのが実情であろう.だからこそ,周囲がどのように対応しているのかを知りたくなる.これが現実ではないかと推察する.本特集号のテーマである心房細動に関して言えば,疾病としての病態理解や治療法はここ10年間で大きく進歩した.教科書通りの診療がなされれば,それは満足すべき医療といえる.1990年代の診療から考えればそう思う.しかし,現実の世界では,その一見簡単に思える「教科書通り」の診療に対して,超高齢化社会あるいは「加齢」が大きな障壁として立ちはだかっている.つまり,「教科書通り」にできない時,どのような診療がなされるべきかという新しい課題に対する奮闘が要求されるようになった.「進むべきか,退くべきか」というサブタイトルは,そのような意味で付け加えたものである.そして,当然のことながらその回答は用意されていない.ただ,回答する前に改めて,現実の世界の心房細動を俯瞰しておく必要があるだろう.細かなところをつぶさに見るのではなく,遠くから全体像を眺める…….直面する課題がこれまでの心房細動研究の対象と違うのなら,異なるアプローチが必要だからである.本特集号では,実際にどうするのかという現実的な診療と合わせて,そのような問題を再考する機会として企画させていただいた.どのように考え,どのように対処しているかを明らかにしていただいた専門家の先生方に改めてここで感謝したい.エディトリアル