カレントテラピー 33-3 サンプル

カレントテラピー 33-3 サンプル page 7/36

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 33-3 サンプル の電子ブックに掲載されている7ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 33-3 サンプル

10 Current Therapy 2015 Vol.33 No.3228の有病率を示したものである.全体の有病率は男性で1.2%,女性で1.3%となり,75~84歳で7.9%,85歳以上では10.8%がAFを有すると報告されている.また,1994年から1998年までの4年間で,年齢調整したAF有病率は男性で22%,女性で14%増加したと報告している.英国では,公的医療はフリーアクセスではなく機能分担が徹底されており,GPがプライマリケアを担当するとともにゲートキーパー役も担っているため,救急などの場合を除いてGPの紹介なく高次医療機関を受診することはできない.実地医療の現場の患者を比較的バランス良く登録しているものと推察される.ATRIA研究の報告4)は,民間保険会社に加入している米国カリフォルニア州北部の20歳以上の成人の受診歴から,1996~1997年にAFと診断された約18,000人の患者をもとに,AFの有病率を推定したものである.AFは男性の1.1%,女性の0.8%にみられ,全体では0.95%の有病率となった.ここでも,AF有病率は60歳代から急速に増加し,75歳以上で6.3%,80歳以上では9.3%の有病率を示した.これらのデータから推算して,米国ではAFを有する人口は230万人とされた.AF有病率と将来の人口動態予測から,2050年には米国で560万人がAFに罹患していると推定されている.Ⅲ 心房細動の罹患人口―日本からの報告―日本人は欧米に比べてAF有病率は概して低いといわれているが,日本からのAF有病率に関する主な報告を表2にまとめた.心血管疾患全国調査5)の成績は,10年に一度行われている一般人口を対象とした循環器病の予防に関する調査(NIPPON DATA)に基づくものである.全国から約300の地域がランダムに選ばれ,30歳以上の住民に郵送でよびかけて,参加を志願した5,198人が対象となっている.アンケート調査に加え,安静時心電図,血液,尿検査を行い,長期にわたって前向きに心血管疾患の発症が調査された.登録時に安静時心電図の結果からAFと診断された人数を基に有病率を推算しており,全体(30歳以上)で0.9%,70歳以上で2.7%(男性3.5%,女性2.1%)の有病率で,2000年にわが国では72.9万人がAFを有すると報告している.日本循環器学会疫学調査6)は,2003年に行われた定期健診の成績(40歳以上の住民健診および企業健診630,138人が対象)で,AF有病率は男女とも加齢とともに増加し,各年齢層において女性に比べて男性で高かった.有病率は70歳代で2.1%(男性3.4%,女性1.1%),80歳以上では3.2%(男性4.4%,女性2.2%)であった.この成績を日本の人口にあてはめて計算すると,図に示すとおり,2005年にはわが国で71.6万人がAFを有しており(総人口あたりの有病率は0.6%),有病率が今後も変わらないと仮定して将来の人口予測値を用いると,2050年にわが国でAFをもつ人口は約103万人で,予測総人口9,518万人の1.1%を占めると推定されている.倉敷市における成績7)は,地域ベースで行われた前向き調査である.倉敷市の,40歳以上の企業健診の対象とならない非雇用住民41,436人を対象として2007年に行った健康診断において,心電図でAFが心血管疾患全国調査日循疫学調査倉敷市報告年(文献)2005 5) 2009 6) 2008 7)対象5,198人(2000年度) 63万人41,436人年齢(歳) 男性女性全体男性女性全体男性女性全体40~49 0 0.2 0.1 0.2 0.04 0.10.5 0.2 0.250~59 0.4 0.7 0.6 0.8 0.1 0.460~69 1.4 0.5 0.9 1.9 0.4 12.3 1 1.570~793.5 2.1 2.73.4 1.1 2.1≧80 4.4 2.2 3.2 3.5 2.5 2.8表2心房細動有病率(わが国の成績)表中の数字は%.〔日本循環器学会:『心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)』より引用一部改変〕