カレントテラピー 33-4 サンプル

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74 Current Therapy 2015 Vol.33 No.4392Ⅰ はじめに睡眠指針は,平成12 年に国民健康づくり運動である「健康日本21」が開始されたことに始まる.「休養・こころの健康づくり」で睡眠問題が提起されたのを受け,平成15年に「健康づくりのための睡眠指針~快適な睡眠のための7箇条~」が発表された.その後10余年が経過し,短い睡眠時間や不眠症などの睡眠にかかわる病態が生活習慣病やうつ病などの危険因子となることが相次いで報告され,睡眠と疾病の関連性についてより確かな科学的根拠が集積されてきた.さらに,平成25 年度から開始された“健康日本21(第二次)”1)では,乳児期から高齢期までそれぞれのライフステージに応じた健康づくりを進めるべきとの観点に立ち,目標のひとつには「睡眠による休養を十分とれていない者の割合の減少」を掲げている.このような経緯から,国は健康づくりのための睡眠指針の見直しを進めることとなり,平成26年3月に改定版の指針が公表された.新指針である「健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12 箇条~」2)では,最新の科学的根拠に基づき,生活習慣病やこころの健康に関する記載を充実させている.さらに,乳児期から高齢期まで個々のライフステージ・ライフスタイルについても勘案された.本稿では,“睡眠12 箇条”の項目および概要について紹介する.詳細については,厚生労働省健康局から発表されている報告書を参照していただきたい.*1 大分大学医学部公衆衛生・疫学講座助教*2 大分大学医学部公衆衛生・疫学講座教授睡眠-覚醒障害と関連疾患― その対策睡眠指針2014土器屋美貴子*1・兼板佳孝*2厚生労働省が推進する健康日本21(第二次)の具体的取り組みとして「健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12箇条~」が改定された.12箇条それぞれには,睡眠に関する科学的知見をもとに,個人や健康づくりの場で実践できる具体的な取り組み方法や,睡眠障害に起因する疾病を早期に発見するための受診勧奨について記している.本稿ではそれら12箇条について解説する.この12箇条を通して,国民自らよりよい睡眠を手に入れ,健康日本21(第二次)の目標でもある健康増進や健康寿命の延伸が図られることを期待している.同一個人でも年齢や社会環境が変われば,適切な睡眠時間は変化する.個々がライフステージの変化に対応し,睡眠環境を整え,日中の眠気で困らない程度の自然な睡眠をとることは,からだとこころの健康を保つうえで重要である.加えて,不眠や日中の生活へ好ましくない影響がある場合は,早期に専門家へ相談する必要がある.