カレントテラピー 33-4 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.4 7325睡眠-覚醒障害と関連疾患― その対策―企画日本大学医学部精神医学系主任教授内山 真20世紀末から注目されるようになった睡眠-覚醒障害の医学は,基礎的な睡眠科学の発展,関連する医学生物学分野の方法論的進歩,社会における疫学的実態調査の伸展とともに,21世紀になって大きな収穫期を迎えている.第一に,睡眠に関する生化学的機構や心理行動学的機構,体内時計機構に関する知見から,新たな治療法の開発が進んだ.これまでのGABA受容体に作用する薬物だけでなく,メラトニン受容体やオレキシン受容体に作用する薬物が不眠症治療薬として開発された.認知行動療法のような非薬物的治療に関する知見も広がった.睡眠研究が脳化学研究の一部としてとらえられるようになり,睡眠が認知機能や記憶を支えていることが明らかになった.第二に,分子生物学的方法論から,いくつかの睡眠障害の病態や原因が明らかになり,単なる症候群から明確な疾患としてとらえうるようになってきた.ナルコレプシーの病態がオレキシンの欠乏によることが明らかになったのは,日本人科学者による分子生物学を駆使した先端的基礎研究と国際的な臨床研究ネットワークによるものである.さらに概日リズム睡眠障害やレストレスレッグス症候群についても背景にある遺伝子のミスセンスが明らかにされつつある.第三に,睡眠が健康に及ぼす影響が大規模な疫学的実態調査のなかで明らかになってきた.睡眠時無呼吸症候群だけでなく,睡眠不足や不眠が生活習慣病の危険因子になることが明らかになったのと同時に,うつ病のような精神疾患のリスクになることも疫学的に明らかになった.睡眠科学とテーマを共有することで,この背景にある生物学的メカニズムについても明らかになりつつある.本特集では21世紀の収穫である睡眠-覚醒障害と関連疾患に関する最新知見をコンパクトに提供できるよう心がけた.まず代表的睡眠障害の最新臨床知見,次に睡眠障害医学の最前線として臨床のトピックスについて,さらに生活指導や認知行動療法に関する最近の進歩,さらにキーワードとして最先端のテーマについて解説していただいた.現在日本において考え得る最高の方々に執筆していただけたことを幸せに思う.本特集が臨床の第一線で活躍されている先生方に,睡眠-覚醒障害についての理解を深めていただく機会を提供できれば幸いである.エディトリアル