カレントテラピー 33-6 サンプル

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24 Current Therapy 2015 Vol.33 No.6560本稿では改訂ガイドラインに基づいてCVAの臨床像,病態,診断,治療について概説する.Ⅱ 概念・定義CVAは,喘鳴や呼吸困難を伴わない慢性咳嗽が唯一の症状で,呼吸機能はほぼ正常,気道過敏性軽度亢進,気管支拡張薬が有効で定義される喘息の亜型(咳だけを症状とする喘息)である1),2),5).Ⅲ 臨床像咳嗽は,就寝時,深夜あるいは早朝に悪化し易いが,昼間にのみ咳を認める患者も存在する.症状の季節性がしばしば認められる.喀痰を伴わないことが多いが,湿性咳嗽の場合も少なくない6()痰は通常は少量で非膿性).喘鳴は自・他覚的に認めず,強制呼出時にも聴取されない(わずかでも喘鳴を認める症例は「咳優位型喘息」と呼ぶ)5).小児では男児にやや多いが,成人では女性に多い.上気道炎,冷気,運動,受動喫煙を含む喫煙,雨天,湿度の上昇,花粉や黄砂の飛散などが増悪因子である.Ⅳ 病態1 アレルギーの関与外因性抗原へのⅠ型アレルギーが少なくとも一部の患者で関与するが,個々の抗原での特異的IgE抗体の陽性率,陽性抗原数,総IgE値は典型的喘息に比べて低い7),8).アレルギー鼻炎(通年性鼻炎+花粉症)の合併頻度は典型的喘息での68%前後8),9)と比較して49.4%と低いが(図1),通年性鼻炎の合併は典型的喘息,CVAのいずれにおいても気道炎症や重症度などに寄与する(図2)8).すなわち,いわゆるoneairway, one diseaseの概念はCVA にも該当する.2 呼吸機能,気道過敏性気流閉塞の程度は典型的喘息と比較して軽度であり10),FEV1,PEFなどの気道閉塞指標は正常範囲内のことが多い.MMF,V25など末梢気道閉塞の指標はしばしば低値を示す11).気道攣縮が咳受容体(Aδ受容体)を刺激して咳を生じると考えられる.気道過敏性は,典型的喘息に比して軽度10)あるいは同等11)である.FEV1の経年低下は健常者,アトピー咳嗽と同等だが,治療継続下でも増悪を繰り返す難治例では顕著となり得る5).3 病理像喀痰,気管支肺胞洗浄液,気管支生検組織の好酸球数が高く,重症度と相関する11)ことから好酸球の病態への関与が想定されるが,生検組織に好中球も増加することも知られている12).さらに治療開始前の%p=0.0013p=0.0005p=0.0021p=0.0013典型的喘息(n=190)CVA(n=83)花粉症あり通年性鼻炎ありいずれかあり両方あり8070605040302010054.738.550.527.768.949.436.316.8図1典型的喘息とCVAにおけるアレルギー性鼻炎の合併頻度(京都大学呼吸器内科;2007年9月~2009年8月)〔参考文献8)より引用改変〕