カレントテラピー 33-6 サンプル

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28 Current Therapy 2015 Vol.33 No.6564Ⅶ 予後と長期治療経過中に成人では30~40%,小児ではさらに高頻度で喘鳴が出現し,典型的喘息に移行する20).後ろ向き研究でICSの診断時からの使用により典型的喘息への移行率が低下することが示されている20).また移行例では非移行例と比較していくつかの抗原に対する特異的IgE抗体陽性率が高く陽性抗原数も多いことから(表3),感作抗原の回避も重要と考えられる7).ICSを中心とする治療において大多数の症例で咳嗽は速やかに軽快し,薬剤を減量できるが,治療中止によりしばしば再燃する20).難治例,症状持続例では必然的に長期の治療継続が必要であり,患者のアドヒアランスも比較的保たれる.一方,治療開始後短期間で症状が軽快,消失した患者にいつまで治療を続けるかのエビデンスはない.専門的施設では喘息で推奨される客観的指標(呼吸機能や気道炎症マーカー)に基づく長期治療が望まれるが,非専門施設での診療も想定した対応は以下のとおりである(ただしこれらはエビデンスに基づくものではない)2).1 季節性が明らかな患者過去数年以上再現性をもって一定の季節にだけ咳症状が生じていれば,喘息における推奨に基づいて症状の生じる時期に治療を開始し,季節を過ぎれば治療を止めてよい.ただし経過中に通年性に移行し得るので注意する.2 通年性に症状があるか,初発で季節性の有無が不明な患者2~3カ月ごとに症状を評価し,無症状かほぼ無症状ならICS以外の長期管理薬を1剤ずつ減らしてゆき,さらにICSを半減してゆく.治療開始1~2年後にICSを最低用量まで減量できて無症状なら中止を考慮してよい.ただし再燃の可能性を説明しておく.参考文献1) Corrao WM, Braman SS, Irwin RS, et al:Chronic cough asthe sole presenting manifestation of bronchial asthma. NEngl J Med 300:633-637, 19792) 日本呼吸器学会「咳嗽に関するガイドライン」作成委員会:咳嗽に関するガイドライン第2版.メディカルレビュー社,東京,20123) Niimi A:Geography and cough aetiology. Pulm PharmacolTher 20:383-387, 20074) Matsumoto H, Niimi A, Takemura M, et al:Prevalence andclinical manifestations of gastro-oesophageal reflux-associatedchronic cough in the Japanese population. Cough 3:1,20075) Niimi A, Matsumoto H, Mishima M:Eosinophilic airway disordersassociated with chronic cough. Pulm Pharmacol Ther22:114-120, 2009移行なし(n=34) 移行あり(n=6) p値年齢(歳) 48±18 35±13 0.08性(男:女) 8:26 4:2 0.055FEV1(%予測値) 105±16 88±9 0.006ICS初期投与量(μg/日) 603±446 467±301 0.52ICS最終投与量(μg/日) 618±342 633±512 0.70Log IgE(IU/mL) 0.7±0.1 1.1±0.5 0.10気道感受性log Dmin(units) 0.5±0.7 0.2±0.6 0.18気道反応性SRrs 1.5±1.5 2.3±1.4 0.074(cmH2O/L/s/min)特異的IgE陽性頻度ハウスダスト・ダニ8(24%) 5(83%) 0.010スギ花粉12(35) 4(67) 0.20イネ科花粉8(24) 1(17) >0.99雑草2(6) 2(33) 0.10ネコ皮屑4(12) 2(33) 0.21イヌ皮屑0(0) 2(33) 0.019真菌3(9) 1(17) 0.49陽性抗原数1.2±0.2 1.9±0.8 0.020表3典型的喘息への移行の有無と背景因子一診断時より吸入ステロイド薬を使用した40例,2年間の観察一〔参考文献7)より引用改変〕