カレントテラピー 33-6 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.6 85治療薬解説621syndrome:UACS)の原因としてアレルギー性鼻炎を含めさまざまな鼻炎があり,それらに対しても同剤が有効である14).2)ロイコトリエン受容体拮抗薬(シングレアR,キプレスR,オノンR)システイニルロイコトリエンタイプ1受容体(CysLT1受容体)に選択的に結合し,炎症性メディエータであるLTD4やLTE4による気管支収縮,血管透過性の亢進,粘液分泌の促進を抑制することで作用を発揮する.喘息においては中等症以上の患者にICSの上乗せ治療として,またアレルギー性鼻炎では通年型の中等症以上の場合に使用される.鼻閉型の花粉症に対しては初期治療に抗ヒスタミン薬,抗Th 2阻害薬とともに第一選択薬で用いられる14).3)Th2サイトカイン阻害薬(アイピーディカプセルR)ヘルパーT細胞からのインターロイキン(IL)- 4 ,5の産生を抑制することで好酸球浸潤抑制,IgE産生抗体抑制により抗アレルギー作用を発揮する.喘息の追加治療薬,アレルギー性鼻炎の第一選択薬として適応を有する.5 プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)胃の壁細胞の産生領域で活性化され,プロトンポンプのSH基と結合することでプロトンポンプの働きを阻害し酸分泌を抑制する.相互作用として,CYP2C19およびCYP3A4で代謝されるため同機序で代謝される薬剤の代謝遅延や胃酸分泌抑制により薬剤の吸収の促進または抑制する可能性があり,併用薬には注意する必要がある.また,頻度は不明であるが顆粒球や血小板減少をきたすことがある.咳嗽の原因のひとつとして胃食道逆流症(gastroesophageal refluxdisease:GERD)があり,GERDのガイドラインではPPIの投与が推奨されている.一方で,GERDのうち,内視鏡において食道粘膜に異常を認めない非びらん性食道逆流症(nonerosive reflux disease:NERD)が本邦でも半数程度存在するとされている.NERDは治療に難渋するケースも多く50%近くがPPIへの反応が乏しいという報告もあり,現在PPIの内服のタイミングや新たな治療法が検討されている15).Ⅳ おわりに治療薬の観点より各疾患に対する治療の適応や治療薬の作用について概要を述べた.乾性咳嗽,慢性咳嗽といった咳嗽の種類に応じ,各疾患を鑑別しながら慢性咳嗽の加療を行っていくことが重要である.参考文献1)日本呼吸器学会 咳嗽に関するガイドライン第2版作成委員会:咳嗽に関するガイドライン第2版.日本呼吸器学会,東京,20122)鰤岡直人:去痰薬,アンブロキソール塩酸塩除法薬およびL -カルボシステイン錠の臨床効果比較.Prog Med 33:1369-1374,20133)Zheng JP, Kang J, Huang SG, et al:Effect of carbocisteineon acute exacerbation of chronic obstructive pulmonary disease(PEACE Study):a randomized placebo -controlledstudy. Lancet 371:2013-2018, 20084)倉原 優:呼吸器の薬の考え方,使い方.pp100-208,中外医学社,東京,20145)西 耕一,水口雅之,橘 秀樹ほか:副鼻腔気管支症候群の臨床所見と粘液線毛輸送能に対するクラリスロマイシンの効果.日胸疾会誌 33:1392-1400, 19956)内藤健晴:咳のはなし─耳鼻咽喉科の立場から─.治療 96:386-389, 20147)日本鼻科学会:急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン.日鼻誌 49:184-187, 20108)JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会:JAID/JSC感染症治療ガイドライン2014.日本感染症学会・日本化学療法学会雑誌 62:74-76, 20149)Nakajima T, Nishimura Y, Nishimura T, et al:Characteristicsof patients with chronic cough who developed classic asthmaduring the course of cough variant asthma:a longitudinalstudy. Respiration 72:606-611, 200510)Nelson HS, Weiss ST, Bleecker ER, et al;SMART StudyGroup:The Salmeterol Multicenter Asthma Research Trial:a comparison of usual pharmacotherapy for asthma or usualpharmacotherapy plus salmeterol. Chest 129:15-26, 200611)藤村正樹:慢性咳嗽を診る 改訂版.pp98-135, 医薬ジャーナル社,大阪,201012)新実彰男:喘息における末梢気道病変の治療 吸入ステロイド.アレルギー・免疫 12:74-79, 200513)木津順子:薬剤と眠気─抗ヒスタミン薬,抗てんかん薬,睡眠薬─.Prog Med 33:2595-2599, 201314)鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会:鼻アレルギー診療ガイドライン.ライフサイエンス,東京,201315)舟木 康,井澤晋也,田村泰弘ほか:PPI抵抗性NERDの治療の実際.医と薬学 71:547-552, 2014