カレントテラピー 33-7 サンプル

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8 Current Therapy 2015 Vol.33 No.7648Ⅰ 新専門医制度発足までの経緯我が国の専門医制度の歴史は,1962年の日本麻酔学会の麻酔指導医制度の創設に遡ることができる.以後,日本脳神経学会,日本皮膚科学会等が次々に専門医制度を立ち上げ,1981年には22学会からなる専門医制協議会がつくられるに至った.この協議会はその後,中間法人「日本専門医認定制機構」を経て,2008年に社団法人「日本専門医制評価・認定機構」になったが,この法人は専門医制度を有する85学会が社員となって運営され,それぞれの学会が設けている専門医制度を評価し,認定する活動を行っていた.制度の内容は学会間で差異が大きく,専門医制度の標準化の必要性が課題として挙げられた.そこで「日本専門医制評価・認定機構」では「専門医制度在り方委員会」をつくって,これからの我が国の医療を担う若い医師を育てることを念頭に「新しい専門医制度」の提案をすることとした.新たな専門医制度を考えるに当たって掲げた「基本理念」は次のとおりである.1.専門医の質を担保できる制度2.患者に信頼され,受診の良い指針になる制度3. 専門医が「公の資格」として,国民に広く認知されて評価される制度4.「 プロフェッショナル集団」としての医師が誇りと責任を持ち,患者の視点に立って自律的に運営する制度この議論を通じて専門医制度改革の機運が盛り上がって来た事から,厚生労働省は平成23 年10月に「専門医の在り方に関する検討会」を立ち上げ,国民的な議論が展開される事になった.検討会のメンバーは髙久史麿日本医学会会長を座長として,日本医師会,全国医学部長病院長会議,各専門学会,地域医療を担う医師,医師以外のメンバーとしては法律家や患者団体等も加わり,実に17回の議論を重ねた結果,平成25年4月に最終報告書がまとめられた1).その骨子が以下のとおりである.1. 専門医は二段階制とする(すなわち,基本領域とサブスペシャルティ領域).2. 専門医の認定は各学会ではなく,中立的第三者機関を設けて,そこで行う.3. 専門医育成は,研修プログラムに従って行う.中立的第三者機関では研修プログラムの評価認定のほか,研修施設のサイトビジットを行う.* 一般社団法人日本専門医機構理事長日本の総合医療はどうあるべきか― 新たな総合診療専門医制度の発足を迎えて新たな専門医制度における「総合診療専門医」新設の意義池田康夫*平成26年5月に一般社団法人「日本専門医機構」が設立され,我が国の新しい専門医制度発足に向けてスタートが切られた.ここに至る経緯を簡単に紹介するとともに,新しい専門医制度の目玉ともいうべき「総合診療専門医」の新設の意義について述べてみたい.