カレントテラピー 34-2 サンプル

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50 Current Therapy 2016 Vol.34 No.2154筋,そして周囲に存在するダメージを受けていない正常心筋を含めた領域において生じるマクロリエントリー回路がその発生機序とされている.1993年にStevensonらは陳旧性心筋梗塞に由来するVTのリエントリー回路モデルを提唱した(図1)5).これによると,瘢痕組織が刺激興奮伝達の障壁の役割を担い,瘢痕組織間に存在する傷害心筋が緩徐伝導領域(slowconduction zone)として機能,そして瘢痕組織の周囲に存在する正常心筋が緩徐伝導領域の出口(exit)から抜けた興奮を緩徐伝導領域の入口へ伝える際の伝導路としての役割〔外側回路(outer loop)〕を果たすことで,8の字型リエントリー回路が形成される.モデルに存在する緩徐伝導領域には,リエントリー回路の必須興奮伝導路である共通回路(common pathway),common pathwayから分岐し興奮が瘢痕組織によって行き止まりとなるdead-end pathway,およびcommon pathwayから分岐した興奮が瘢痕組織間を通り再びcommon pathwayの入口へとつながるinner loopが存在する.この概念は今から20年以上前に作成されたものであるが,3Dマッピングシステムの出現により飛躍的な進歩を遂げた今日の不整脈学においても,いまだ有用なVTモデルとして幅広く使用され活躍している.そして,このモデルは心筋症や心筋炎などに代表される非虚血性心筋疾患に由来するVT回路を想定するうえでも有用である.ただし,拡張型心筋症や心サルコイドーシスに由来するVT等では頻拍回路が心外膜側に位置することも念頭に置いておかねばならない.Ⅲ マッピングVTのアブレーションを施行する際は,頻拍回路ならびに機序をあらかじめ推測しておくことがスムーズな検査・治療を行ううえで不可欠となる.器質的心疾患合併VTの場合には心室筋に生じた瘢痕領域に由来するリエントリー性VTを呈することが多いが,術前の心電図資料や検査結果から頻拍機序を示唆する所見がないか検討しておく.1 アクティベーションマッピングアクティベーションマッピングとは頻拍中にマッピングを行うことで回路を同定するマッピング法であるが,このマッピングを作成するためにはある程度の時間を要するため,一定時間の持続した頻拍が得られること,そして血行動態がある程度維持されることが条件となる.頻拍回路としての心室内興奮パターンは大別して,a)フォーカルパターンとb)リエントリーパターンに分けられる.フォーカルパターンとは,ごく限られた領域から異所性興奮が発生するもので,3Dマッピングシステムを用いて興奮パターンを解析すると,頻拍起源を最早期興奮部位として同心円状に電気的Outer loopCP entranceQRS onsetCP exitInner loopCommon PathwayABCDEE 図1陳旧性心筋梗塞に合併したVT回路の模式図梗塞による瘢痕組織が,興奮伝播の解剖学的障壁となり,瘢痕組織間に位置する傷害心筋が緩徐伝導路を形成する.Cから出た興奮は瘢痕組織周囲の正常心筋内を旋回し(D;outer loop),再び緩徐伝導領域(A)へ進入する.緩徐伝導領域には,リエントリー回路の必須興奮伝導路である共通回路(common pathway;B),common pathwayから分岐し興奮が瘢痕組織によって行き止まりとなるdead-end pathway(E),およびcommon pathwayから分岐した興奮が瘢痕組織間を通り再びcommon pathway入口部へとつながるinner loopが存在する.〔参考文献5)より引用改変〕