カレントテラピー 34-2 サンプル

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52 Current Therapy 2016 Vol.34 No.2156響が限られることが挙げられる.最近では心外膜側からアプローチすることでこれらのVTに対する治療が行われているが,一部の肥大型心筋症などVT基質が心筋内深層にある場合にも同様にカテーテルによる焼灼の影響が制限されてしまう.また,非虚血性心疾患には拡張型心筋症や不整脈原性右室心筋症といった進行性の心疾患が多く含まれており,不整脈基質が経過とともに新たに出現することで別の新しいVTが出現し,VTイベント率増加をまねいてしまうことも大きな要因であろう.1 Unexcitable Scar MappingSoejimaらは10 mA,2 msの刺激強度でペーシングを行い補足されない領域をScarとし,ScarとScarの間,あるいはScarと弁輪などの解剖学的ブロックエリアの間でペースマッピングもしくはエントレインメントマッピングを行うことでcommon pathwayを同定,これらの領域をつなぐように焼灼を行うことで虚血性心疾患14例のうち10例においてVT誘発不能となったことを報告した7).今から10年以上前の報告ではあるが,現在でも世界中の多くの施設で行われている手法であり,サブストレイトマップを行ううえで非常に役立つ考え方そして手法である.2 Linear Ablation of the Scar border頻拍回路上の緩徐伝導路部位出口側をターゲットとしたアブレーションである.これらの領域の多くが低電位領域と健常電位領域との境界(scar border)に位置することから,心筋梗塞後VT症例に対して同部位を低電位領域の境界に沿うように線状焼灼することで90%を超える長期非再発率を報告している8).3 Endo-Epicardial Homogenization ofthe Scar心内外膜側をそれぞれマッピングしたうえで,サブストレイトマップをもとに経験的に心内膜側の低電位領域内を広範囲に焼灼し,さらに心外膜側の異常電位記録部位への通電を追加するといったストラテジーである9).虚血性心疾患92例を対象に従来の3D0.0012Group0 5 10 15 20 254943414136353135283526350.250.500.751.00経過(月)VT非再発率従来のVTアブレーションEndo-epi Homogenizationp=0.006A BNumber at riskアブレーションポイント図2 Endo-Epicardial Homogenization of the Scar心内外膜側をそれぞれマッピングしたうえで,サブストレイトマップを基に経験的に心内膜側の低電位領域内を広範囲に焼灼し,さらに心外膜側の異常電位記録部位への通電を追加するといったアブレーションの手法である.A:左室下壁の瘢痕領域に対し広範囲のアブレーションが施行されている.B:従来の3Dマッピングシステムを用いたVTアブレーションの治療成績と比べ,本手法において有意に良好なVT治療成績が得られた.〔参考文献9)より引用改変〕